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5相続にかかる民法と税法(相続分の譲渡について)

第5回 相続分の譲渡について

第5回目は相続分の譲渡というものの取り扱いを確認します。

目次

相続分の譲渡は、遺産分割争いからの離脱を望む相続人がある場合、また、相続人の数が多く当事者の整理が必要な場合などに行われることがあります。
ここでいう相続分とは、積極財産(財産)と消極財産(債務)の両方を含む遺産全体に対する持分としての相続分で、遺産に含まれる土地、建物といった個々の財産を指すものではありません。

相続分の譲渡の「相続分」とは財産(プラス)と債務(マイナス)を含む遺産全体に対する持分

1.民法上の理解

民法では直接に相続分の譲渡について規定している条文はありません。しかし、第905条において相続分を譲渡した場合の取戻権が規定されています。このことから、相続分は当然に譲渡が可能であると解されています。

2.税法上の理解

相続分の譲渡があった場合、税務上は次のように取り扱われます。

1) 他の共同相続人に相続分が譲渡された場合

被相続人(父)に子A、B、Cの3人の相続人がいた場合(配偶者は無し)を前提とします。
各相続人の相続分は3分の1ですが、このうち相続人Aが相続人Bに相続分を無償で譲渡した場合、相続人BがAとBの相続分を合わせた3分の2を取得するという遺産分割をしたのと同じ結果となります。従って、Aは取得なし、Bは3分の2を取得したものとして相続税の申告をします。
また、譲渡が有償であった場合には、相続人Bが3分の2を取得し、相続人Aに対し代償金(=譲渡対価)を支払うという遺産分割をしたのと同じ結果となります。従って、Aは代償金分の財産を取得、Bは3分の2の財産から代償金の金額を控除した分の財産を取得したものとして相続税の申告をします。

2) 第三者に相続分が譲渡された場合

相続人Aが相続分を第三者Xに譲渡した場合を例としてみます。
税法の考え方では、相続人Aが自分の法定相続分をいったん取得し、その後にXに譲渡したものと解します。従って、相続人Aは法定相続分3分の1を取得したという相続税の申告を行わなければなりません。
また、その後の譲渡については、譲渡相手の第三者Xが個人か法人かで課税関係が変わります。
Xが個人の場合、譲渡が有償であれば、相続人Aは譲渡所得の申告が必要となります。譲渡が無償であれば、贈与ということになりますので、Xの側で贈与税の申告が必要となります。
次にXが法人の場合は、譲渡が有償であるか無償であるかにかかわらず、相続人Aは譲渡所得の申告が必要となります。これは、法人への無償譲渡は贈与ではなくみなし譲渡とされるためです。一方、譲渡をうけた法人X側では、譲渡を受けた財産の時価と対価の差額について法人税が課されることとなります。

以上のように相続分の譲渡が行われる場合には、課税関係が非常に複雑となります。事前に専門家に相談をし、税負担のシミュレーションを行うことが重要です。
当法人では、相続に係る税全般について随時ご相談をお受けしております。お気軽にお問い合わせ下さい。

参考文献等:
国税庁 https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/sonota/100331/02.htm 
関根稔、間瀬まゆ子編著「税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解」ぎょうせい

高田馬場事務所 篠木市子

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