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非上場株式 ~個人から法人への譲渡~

評価額はさまざま

非上場株式の評価額は、相続・贈与するとき、また譲渡するときでは税法上適正とされる評価額が異なります。

同じ非上場株式であるにもかかわらず、相続の時期、贈与する相手により原則的評価方式であったり、特例的評価方式である配当還元方式が使えてとても安く評価できたりもします。

同族株主の判定

相続税財産評価基本通達において、株主の判定は、所有株式数で行うのではなく、議決権割合で判定します。評価会社が所有している自己株式については議決権を0として計算した議決権の数をもって評価会社の議決権総数とします。(財産評価基本通達188)

同族株主のうち、中心的な同族株主の定義は以下のとおりです。

中心的な同族株主とは、同族株主の1人及び次の者の有する議決権の合計数が議決権総数の25%以上である場合のその株主をいいます。(財産評価基本通達188(2))

1,配偶者 2,直系血族 3,兄弟姉妹 4,一親等の姻族 5,これらの者と同族関係者である会社

個人から法人への譲渡

最近では、上場会社でも自社株買いが頻繁に行われています。

非上場株式もその発行会社がオーナー一族より自己株式として買い取るケースがあります。また、関連会社に売却する場合もあるでしょう。その場合の評価額はどのように計算したらよいのでしょうか。

この場合は、売る側の個人に着目して所得税が適用されることになります。

個人から法人への譲渡、法人への贈与、限定承認に係る相続の場合は、所得税基本通達59条の6によることになります。

令和2年に一部改正も行われています。

1,基本的には相続税財産基本通達178から189-7までの評価を準用します。

2,株主判定は譲渡直前又は贈与直前の議決権の数で判定します。

3,株主が中心的な同族株主に該当する場合は、「小会社」に該当するものとして評価します。
1株当たりの純資産価額、または
類似業種比準価額×0.5+1株当たりの純資産価額×0.5

評価方法は「小会社」方式になりますが、類似業種比準価額の計算において用いる斟酌割合については、会社規模に応じた斟酌割合(大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5)を用いることが明文化されています。

4,純資産価額について土地と上場株式は時価評価を行います。

5,含み益に対する法人税相当額の控除はできません。

3の小会社評価を行う際、評価会社が有する子会社株式の評価も「小会社」に該当するものとして評価を行う必要があります。

中心的な同族株主に該当しない株主の場合は、小会社としての評価を行う必要はありませんが、中心的な同族株主である個人が法人へ非上場株式を譲渡する際には、株価が非常に高くなることが多いです。

分散した自社株の集約、組織再編、事業承継のため個人から法人への譲渡は数々行われています。贈与や種類株式への変更など他の手段とも上手に組み合わせ、目的を遂行することが大切かと思います。

渋谷事務所
山本由利子

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