設備投資による効果的な節税~中小企業経営強化税制~
「節税」は経営者の皆様にとって、会社を経営していくうえでの大きな関心ごとの一つではないでしょうか。インターネットで検索するだけでも、中身の良し悪しは別にして、とても多くの情報を得ることが出来ると思います。それらの中で、脱税まがいのものは論外として、目先の税金を少なくすることだけに留まらず、将来の会社の業績に貢献するようなものはほとんどないのではないでしょうか。今回ご紹介させていただく「中小企業経営強化税制」は、国が認めている制度で、自社の将来の売上・利益に貢献する設備投資をおこなって、併せて税金の優遇を受けられる制度となっています。平成29年からある制度ですので、すでに効果的に活用いただいている企業もあるなかで、制度を知らずにせっかくの機会を逃している企業も多いいと思いますので、今回ご紹介させていただきます。
●制度の概要
中小企業者等が令和7年3月31日(令和5年4月4日時点)までに、中小企業者等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得し、事業の用に供した場合に税金の優遇を受けることが出来ます。
●税金の優遇の内容
下記のうちいずれかの選択適用
1 即時償却
⇒ 設備投資額全額を損金算入
(例:機械装置1億円の設備投資の場合、取得事業年度に1億円を損金として計上)
2 税額控除
⇒ 取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円未満の法人は7%)の税額控除
(例:機械装置1億円の設備投資の場合、10%の1,000万円(注)を法人税から控除)
(注)限度額計算あり
●対象設備
(出典:中小企業庁HP)
*上記対象設備の中にA~Dまでの類型がありますが、実務上最も簡単で、利用頻度が高いのはA類型になります。中古は適用外ですので、新品の設備投資をおこなう場合には、購入するメーカーに「中小企業者等経営強化法の税制優遇を受けたいので証明書を発行して下さい。」と一言伝えるようにして下さい。他の要件もありますが、この証明書さえ発行されれば、この税制優遇を受けられる可能性はとても高くなります。特に製造業で新品の機械装置を購入される場合には、必ずこの証明書の発行有無を確認いただくといいと思います。また、仮に証明書の交付が受けられなかった場合も、他の類型(B~D)での適用の可能性もありますので、ご検討ください。
●申請手続
上記の対象設備の確認がとれれば、あとは経営力向上計画を申請するだけです。この申請についても申請期間が決められていますので注意が必要です。申請期間が過ぎてしまうと、せっかく条件を満たした設備投資をしても適用を受けることはできません。そのため、設備投資の計画と同時にこの制度の適用可否を検討する必要があります。
【申請期間】
1 原則
⇒ 対象資産の取得前に申請して、認定を受ける必要があります。
2 例外
⇒ 対象資産の取得後60日以内に申請をする必要があります。
●まとめ
今回ご紹介させていただいた「中小企業経営強化税制」は、補助金などと違い、条件さえ満たせば必ず適用を受けることが出来る制度となっています。こちらの制度を利用している企業は、税金の優遇を受けつつ、意味のある設備投資で業績を伸ばしています。この制度をご存じなかった場合には、是非この機会に、検討してみてはいかがでしょうか。
《参考》
措法42の12の4
中小企業庁HP
渋谷事務所
福田 訓久