日本のDXとこれから
新型コロナウイルス感染症の影響で急速なデジタル化が進み、テレワークをはじめ、Web会議などが普及するようになりました。また、日常生活では非接触型サービスの利用や、インターネットでの買い物・宅配サービスを利用することが多くなり、家族や知人とはチャットやオンライン飲み会などでコミュニケーションをとるようにもなりました。
このように、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいるようにもみえる日本ですが、マッキンゼー・アンド・カンパニーのレポートによると、そのようなサービス利用者の増加が10%未満の増加にとどまっているのは、インド等を含む主要国中で日本だけとなっています。その理由として「社内のデジタル人材不足」「社長の年齢と在任期間」「外部の人材が活躍しにくい組織文化」の3点が挙げられています。このようなハンディキャップが、日本のDX推進を阻んでいるとすれば、企業がするべきことは何でしょうか。
経済産業省のDX推進ガイドラインでは、次のようにDXが定義されています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
つまりDX推進には、経営トップ自身がリーダーシップを取って取り組むことが重要で、企業の経営方針や組織形態を見直し、ビジネスモデルの変革を起こすためのビジョンを構築し、各部門へのDX推進部門を設置・人材育成を行うことが必要です。
またマッキンゼーのレポートでは、DX推進の成功の鍵となる「5つのポイント」があることが分かったそうです。
1. デジタルに精通している適任のリーダーを、各部署に配置している
2. 将来の労働力の変化を見据えて、全体的な組織能力を向上させている
3. 新しい働き方を導入し、従業員の生産性を向上させている
4. 日々デジタルツールを導入するなどして、社内をアップグレードし続けている
5. 新しいデジタルシステムをむやみに導入せず、旧システムも見直しながら、徐々に新
体制へと移行させている
ガイドラインやマッキンゼーの調査によるポイントなど分かっていても、実際にはなかなか上手くいかないのがDXです。DXで何がしたいのか。今の状態からどう変われば良いのか。経営トップと各部門との意見を摺り合わせ、議論しながら長い目で構築していくことがDXを成功させる近道です。
出典
マッキンゼー・アンド・カンパニー
マッキンゼー緊急提言デジタル革命の本質:日本のリーダーへのメッセージ
https://www.mckinsey.com/jp/~/media/McKinsey/Locations/Asia/Japan/Our%20Work/Digital/Accelerating_digital_transformation_under_covid19-an_urgent_message_to_leaders_in_Japan-jp.pdf
経済産業省
「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf
川崎事務所 木村秀彰