体の健康だけじゃない!労働者の心の健康を守る「メンタルヘルス施策」とは?
精神疾患になる人が年々増えています。厚生労働省が2014年と2017年に発表した患者調査によると、2014年時点で392.4万人だった精神疾患患者数が、2017年には419.3万人に増加したことが明らかになっています。
精神疾患になると、以前までできていた日常行動がうまくできなくなります。そのため社員が精神疾患になると、休職または退職をしてしまうことが考えられます。社員の心の健康を守り、精神疾患になるのを防ぐには、どうしたらよいのでしょうか?今回は会社で働いている人が精神疾患になるのを防ぐための施策「メンタルヘルス施策」についてご紹介します。
メンタルヘルス施策とは?
メンタルヘルス施策とは、政府が労働者の心の健康を守るために施行した、制度と対策のことです。施策の背景には、職場で強いストレスや不安を感じる人の増加があります。
厚生労働省が2018年に行った「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、職場で強いストレスを感じている労働者は、全体の58%であることが分かりました。また警視庁と厚生労働省が2020年に合同で発表した、「令和元年中における自殺の状況」によると、毎年約7000人の労働者が、社内でのストレスが原因で自殺していることが明らかになっています。
このような実態を改善し、労働者が心の健康を保つために、政府はさまざまなメンタルヘルス施策を行っています。メンタルヘルス施策の例として、以下の4つがあげられます。
・労働者が自らが行えるセルフケアの推進
・ストレスチェック制度の義務化
・心の健康相談窓口の設置
・心の病気に関する情報の公開
企業で義務づけられているストレスチェック制度
メンタルヘルス施策の中の1つである、ストレスチェック制度は、労働者が質問に回答し、その回答から労働者のストレス要因や心の状態などを分析する制度です。2015年12月以降、雇用主は原則全ての労働者を対象に実施することが義務づけられています。
ストレスチェックで使用する質問表は、各企業が自由に制作してかまいませんが、以下の3つの項目を必ず記載しなければなりません。質問表の準備が難しい場合は、国が製作している「職業性ストレス簡易調査票」をそのまま利用することもできます。
・ストレスの原因
・心と体の自覚症状
・周りの人がサポートしてくれているか?
ストレスチェック制度のメリット
ストレスチェック制度のメリットとして以下の3つがあげられます。
・労働者のセルフケア推進
ストレスチェックの結果を本人にフィードバックすることにより、労働者は自分のストレス状況を客観的に見直せます。これは労働者のセルフケア推進につながります。
・労働者の心の病気発生リスクを減らせる
チェックで重度のストレスを抱えていると診断された人は、政府から本人にのみ通知が来ます。通知の来た人は、医師の面談が受けられるため、結果的に労働者の心の病気発生リスクを抑えられます。
・職場環境改善
開示された結果を分析すれば、職場環境の問題点洗い出しや改善が可能です。なお従業員数が10人未満の場合は、結果から個人の特定が可能なため、従業員全員から結果提示の許可が得られない限り、開示を受けられません。
まとめ
厚生労働省が2018年に行った「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、職場でストレスを感じている労働者は、全体の58%であることが明らかになりました。政府はそんな労働者たちのストレスを軽減し、精神疾患になるのを予防するために、さまざまなメンタルヘルス施策を行っています。
今回はメンタルヘルス施策の詳細や、施策の1つであるストレスチェック制度について解説しました。社員の心の健康を守るためには、ストレス要因を分析し、職場環境を改善していくことが重要です。
(画像はいらすとやより)