消費税と少額減価償却資産の判定
令和元年10月1日より、消費税率が8%から10%に引き上げられました。
当該取引が8%の取引か、10%の取引かの判断は当然重要となりますが、この判断の如何によっては、少額減価償却資産の適用可否の判定にも影響を及ぼす場合があります。
⒈ 少額減価償却資産
法人税法、所得税法には取得した減価償却資産の使用可能期間が1年未満である場合、または取得価額が10万円未満である場合には、損金経理(費用として仕訳を切ること)することで、その全額を損金に算入する(税法上で費用として認めること)ことを認める規定があります。
こちらの規定は、本来は購入するのに要した金額を減価償却費として耐用年数に基づいた期間で費用配分するところ、購入した事業年度に全額を損金算入することができる納税者に有利なものとなります。
⒉ 消費税等の会計処理方式の違いによる少額減価償却資産の判定
なお、上記の10万円未満という判定は、税込経理方式によっている場合は、税込金額で判定し、税抜経理方式によっている場合は税抜で判定いたします。
消費税を納める義務がない免税事業者のときは税込経理方式により処理することとされていますが、消費税を納める義務がある課税事業者のときは、税込経理方式と税抜経理方式の選択をすることが認められています。
税込経理方式とは売上や仕入などの仕訳を切る際に、消費税込みの金額を売上、仕入として処理する方法です。消費税等の納付税額は決算時に租税公課として処理することになります。
一方で税抜経理方式は売上や仕入は税抜の金額で処理し、消費税分を仮受消費税等、仮払消費税等として資産、負債として処理する方法となります。
以下に税込108,000円の資産を購入した際の判定を例示させていただきます。
108,000 ≧ 100,000円
【税抜経理方式】
・消費税率が8%の場合
100,000円 ≧ 100,000円
・消費税率が10%の場合
98,181円 < 100,000円
このように税抜経理方式の場合は、表示されている金額が税込のときは税抜に直すことになるため、税率の判断がより一層重要となります。
こちらの判定は一括償却資産の20万円や、中小企業者等の少額減価償却資産の特例の30万円においても同様になりますので、注意が必要です。
出典:国税庁HP https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/5403.htm
渋谷事務所 角 亮佑