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印紙税の記載金額

印紙税の課否判断のプロセスをシリーズでご紹介しています。

第1回「印紙税の文書」

第2回「印紙税の契約書」

第3回「印紙税の所属の決定」

第4回「印紙税の記載金額」

第5回「印紙税の非課税文書」

第6回「印紙税の納税義務者」

第7回「印紙税の納税地」

 

第4回は、「印紙税の記載金額」についてご紹介します。

 

印紙の金額は、文書に記載されている金額によって決定され一定金額未満の場合は非課税になる場合もあります。この文書に記載されている金額には契約金額、手形金額、券面金額、受取金額といった金額があり、この金額は記載金額と呼ばれます。

 

1契約金額の意義

そのため、記載された契約金額によって印紙の金額が異なってきますが、どのような金額が「契約金額」にあたるか問題となります。印紙税法基本通達23条では、「契約金額」は当該文書において契約の成立等に関し直接証明の目的となっている金額としています。例えば、土地売買契約書において、時価60万円の土地を50万円で売買すると記載した時の60万円は評価額であって売買金額ではないため50万円が契約金額となります。

また、土地交換契約書において、甲の所有する土地(価額100万円)と乙の所有する土地(価額110万円)とを交換し、乙は甲に10万円支払うと記載した契約は110万円が契約金額になりますが、甲の所有する土地と乙の所有する土地とを交換し、甲は乙に10万円支払うと記載したものの契約金額は10万円となります。この他、印紙税法基本通達23条では土地賃貸借契約書において、後日返還されることが予定されている保証金、敷金等は、契約金額には該当しないことや、消費貸借金額には利息金額が含まれないといったこと等が示されています。

 

2記載金額の計算方法

また、契約文書には複数の金額が記載されている場合があります。例えば、請負契約書(第2号文書)に「A工事200万円、B工事300万円」と記載されている場合はその合計額の500万円が記載金額となります(印紙税法基本通達第24条、第30条第2項)。同一の号でない2以上の金額が記載されている場合には、それぞれの金額の所属の号を判定し、一定のルールによって1つの号に所属を決定します。この一定のルールは、原則として、

① 該当する号のうち税率の最も高い文書に所属させる。

② 税率が同じ場合は先に掲げられている号の文書に所属させる。

③ 証書と通帳の双方に該当する場合には通帳の号の文書に所属させる。

という基本的な考え方に基づいて、判断して文書に所属させます(印紙税法別表第一課税物件表の適用に関する通則)。例えば第1号又は第2号文書と第3号から第17号までの文書とに該当する文書については原則として、第1号又は第2号の文書に所属が決定されます。したがって、不動産及び債権売買契約書(第1号文書及び第15号文書)で、不動産700万円、債権200万円と記載されている場合には、第1号文書に所属することとなり、記載金額は第1号文書の700万円となります。

 

この他にも、記載金額の決定には様々なルールがあります。ご質問等ございましたら、コンパッソ税理士法人までお気軽にお問い合わせください。

 

参考

国税庁HP:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/01/01.htm

『迷ったときに開く 実務に活かす印紙税の実践と応用』新日本法規

高田馬場事務所 片岡 謙太郎

 

 

 

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