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印紙税の文書

これから印紙税の課否判断のプロセスをシリーズでご紹介します。

第1回「印紙税の文書」

第2回「印紙税の契約書」

第3回「印紙税の所属の決定」

第4回「印紙税の記載金額」

第5回「印紙税の非課税文書」

第6回「印紙税の納税義務者」

第7回「印紙税の納税地」

と7回に亘ってご紹介していきます。

 

まずは、第1回「印紙税の文書」についてのご紹介となります。

 

わたしたちが契約書や領収書などの文書を作成するとき、これに印紙を貼付することは取引上の慣習として広く定着しています。

例えば、不動産の取引においては、その取引金額が高額となることから、当然、文書が取り交わされます。不動産取引に係る方にとっては、その文書に印紙を貼る必要があるのかどうか判断に迷うこともあるでしょう。また、一通当たりの印紙代が少額でも同じ文書を大量に作成するとなればその金額は決して軽視できません。

 

そこで、今回、あらためて印紙税の文書の意義について考えてみたいと思います。

そもそも印紙はなぜ貼らなければならないのでしょうか?

また、どんな文書に印紙を貼る必要があるのでしょうか?

 

⒈ 印紙を貼るのはなぜ?

契約書や領収書などの文書が作成される場合、その取引には何らかの経済的利益が生じていると考えられます。また、取引に際して文書を作成することで取引の事実が明らかとなります。

印紙税は、この文書の作成に伴う経済取引に着目して、担税力に対して課税する流通税と言ってよいでしょう。

ただし、印紙税は、経済取引という行為に課税されるのではなく、あくまでも経済取引の際に作成される文書に課税されるものです。

 

⒉ どんな文書に印紙を貼るの?

印紙税は、経済取引により作成される文書のうち、不動産の譲渡契約書、請負契約書、有価証券、保険証券、領収書、預貯金通帳など担税力があると認められる文書を20に分類し、課税対象としています。

この印紙を貼るべき文書を「課税文書」といいます。

では、「課税文書」とは何でしょうか。

 

⒊ 課税の対象となる文書(課税文書)

⑴ 印紙税の課税対象は、別表第一課税物件表の課税物件欄に掲げる文書です。課税物件表には第1号の不動産の譲渡に関する契約書等から第20号の判取帳まで限定列挙されています。言い換えれば、第1号文書から第20号文書までに該当しなければ、印紙税は課されないのです。

なお、第1号文書から第20号文書に該当しない文書は通常、不課税文書といい、印紙税の課税対象とはなりません。

⑵ 課税物件表の課税物件欄に記載されている文書であっても、一定の要件を満たすときには、印紙税を課さないこととされています。このような文書を非課税文書といいます。

したがって、課税物件表の課税物件欄に記載された文書のうち、非課税文書以外の文書が課税文書となります。

 

⒋ 課税文書の要件

印紙税法基本通達第2条は、

「法に規定する課税文書とは、課税物件表の課税物件欄に掲げる文書により証されるべき事項(以下「課税事項」という。)が記載され、かつ、当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書のうち、法第5条《非課税文書》の規定により印紙税を課さないこととされる文書以外の文書をいう。」

と定めています。

つまり、

① 課税事項が記載されていること

② 当事者間で課税事項を証明する目的で作成された文書であること

③ 非課税文書でないこと

ということで、これが課税文書の要件となります。

 

日々の取引において作成される文書について、印紙税の課税文書となるのかどうか、ご不明な際には、コンパッソ税理士法人までお問い合わせください。

 

 

参照

国税庁HP:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7100.htm

「実務に活かす印紙税の実践と応用」鳥飼総合法律事務所著 新日本法規

「法的思考が身につく 実務に役立つ印紙税の考え方と実践」鳥飼重和著 新日本法規

「印紙税課否判断の実務」都築巌著 清文社

「問答式実務印紙税」藤田信一編 大蔵財務協会

 

高田馬場事務所 加藤紳一郎

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