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会社員の確定申告~所得税還付申告~

一般的な会社員でも確定申告をすることがあります。そもそも、会社員は年末調整を受けているため、確定申告は必要ありません。しかし、ある一定の条件においては、確定申告を行うことで税金の払い戻しにあたる「還付」を受けられることがあります。ここでは会社員が確定申告で還付を受けられる主な場合と、その注意点を見ていきます。

多額の医療費を払った場合

まずは医療費控除です。医療費控除とは、申告する本人やその家族が1年間に支払った医療費が一定金額を超えた場合に、200万円を限度に所得から控除することができる制度です。年間の医療費が10万円を超えた場合に限り超えると受けられる制度と思っている方も多いと思いますが、10万円以下でも、総所得金額等の合計額の5%相当額を超える場合には、その5%を超えた部分が医療費控除の対象となります。

以前は医療費の領収書を添付して申告していましたが、現在は「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付し、領収書は自宅で5年間保存すれば添付の必要はありません。なお、健保組合が交付した医療費通知の原本を提出すれば明細書の記載も簡略化できます。

2017年からは「セルフメディケーション税制」が導入されました。これは、対象の医薬品を12,000円以上購入すると、購入額に応じて最大88,000円まで所得控除できるというものです。インフルエンザ予防接種や健康診断については、領収書などの提出も必要ですが、レシートに対象となる商品が明記されているので、一般の医療費控除に比べて計算が明瞭です。

住宅をローンで購入した場合

次に住宅借入金等特別控除です。住宅ローン控除と言う方が分かりやすいかもしれません。要件を満たせば、ローンを組んでマイホーム購入や自宅のリフォームを行った場合に税金の控除を受けられます。

控除額は居住年度によって変わりますが、2022年は住宅ローンの年末残高に対して最大0.7%の税額が控除可能で、控除期間は新築等の場合13年です。2021年は控除率が1%でしたが、住宅ローンの金利が1%の未満の場合には、金利以上に控除を受けて、差額が利益となるケースが増えたため見直されました。

返済期間が10年以上残っていることが要件の一つですので、最後の年まで控除を受けるなら控除期間+10年のローン期間が必要です。なお、途中で繰り上げ返済をして返済期間の短縮を選択した場合には、残りのローン期間が10年未満となって控除を受けられなくなることがありますので、最後まで控除を受けたい場合は、毎月のローン返済支払額の減額を併用する方法などもご検討ください。2年目以降は年末調整で控除できます。

ふるさと納税を行った場合

3つめは、最近増えているふるさと納税です。実質2,000円の負担で各地の返礼品が貰えるというので人気です。ふるさと納税と言っていますが、実態は「寄付金控除」です。寄付した団体などから受けた寄付金の受領証を添付して確定申告すると、寄付金額のうち2,000円を超えた部分について、所得金額に応じ所得税と住民税から控除を受けられます。

確定申告が不要な会社員等で寄付先が5団体以内の場合、ワンストップ特例制度を使うと確定申告は不要となりますが、この場合各自治体に特例の適用に関する申請書を提出する必要があります。ワンストップ特例制度を利用した場合は、所得税の分も含めて翌年度の住民税から控除されます。

注意したいのは、ほかの理由で確定申告をすることになった場合です。この場合、ワンストップ特例の申請を行っていても、あらためて確定申告での手続きが必要になります。寄付先が6団体以上になってしまった場合も同様です。

申告を忘れた場合

ところで、申告をし忘れてしまった場合はどうなるでしょう。還付申告は対象の年から5年以内ならいつでも行えます。ただし、住宅ローン控除の場合は要注意です。5年以内であれば還付申告できるというのは先に述べた通りですので、さかのぼって確定申告をすれば所得税の還付を受けられます。ところがこの取り扱いは、その間に確定申告をしていない場合に限られます。既に医療費控除など他の目的で確定申告をしている場合は、住宅ローン控除の適用を受けないことを選択して申告したとみなされますので、更正の請求をして控除を受けることはできません。もっとも、1年目に住宅ローン控除の適用をしない申告をしてしまって控除が受けられなかったとしても、要件を満たせば2年目以降は申告で住宅ローン控除を受けることができます。なお、5年間さかのぼって住宅ローン控除を受けられたとしても、住民税に関しては不可ですのでご注意ください。住宅ローン控除は控除額も大きく、また一生のうちに何度も受けられるものではありませんので、特に慎重な対応が必要です。

青葉事務所
山崎 智津子

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