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遺言書の制度変更について

相続に関する民法が2018年に改正され、2019年から順次施行されています。
その一つが自筆証書遺言での制度変更です。
自筆証書遺言は従来、本文に加え、土地や建物、金融資産などの状況をまとめた財産も含め、全て手書きする必要がありました。
銀行通帳や不動産の全部事項証明書のコピーで代用することもできず、財産が多く、内容を見直したい場合などは、全部書き直さなければならず、負担が大変でした。
それが今年の1月13日から、目録につてはパソコンやワープロで作成でき、通帳などのコピーでも代用できることになりました。
ただ、偽造防止のため、全ての目録に署名と押印が必須となっています。また、本文についてはこれまでと同様に手書きしなければなりません。

<法務局での保管サービススタート>

2020年7月10日からは、もう一つ大きな変更があります。自筆証書遺言を最寄りの法務局で、有料で保管してくれる制度がスタートします。費用については現時点では未定となっています。
自筆証書遺言は、紛失したり相続人に改ざんされたりする恐れがありましたが、保管制度が始まれば、そうした事態は避けられます。
また、保管制度には別のメリットもあります。自筆証書遺言には一定のルールがあり、署名や押印、制作年月日といった必要事項をきちんと記載しないと、後で無効となるリスクがありました。制度を利用すれば、預かる際に必要事項が記載されているかどうかを法務局の事務官が確認するので、書式の不備の心配はなくなります。
自筆証書遺言は、遺言者の死後、保管先から持ち出して家庭裁判所に提出し、「検認」という手続き経ないと開封ができません。この検認も、法務局で保管する場合は不要となります。

<自筆証書遺言の注意点>

使いやすくなった自筆証書遺言ですが、注意点は多いです。例えば表現の仕方で「相続させる」とすべきところを「相続を強く希望する」と書いたため、遺言が実行さなかったケースがあり、明瞭な表現が求められます。また、記載漏れした財産があると、トラブルの元となります。このほか、遺留分や相続税のことも考慮しなければならないため、完成前に一度、税理士などの専門家にチェックしてもらった方がいいと思われます。
遺言には自筆証書のほか、公正証書遺言と秘密証書遺言という形式もあります。公正証書遺言は公証役場で作成するのが特徴で、作成時に公証人のチェックが入り、役場で保管してくれるので、紛失や改ざんの恐れはありません。家庭裁判所での検認手続きも不要です。しかし一方では、作成に手間がかかり、財産に応じて手数料もかかるし、書いた内容の秘密も保てません。
秘密証書遺言は、自筆証書と公正証書の中間的存在で、本人(代筆可)が作成、押印、封入した後、公証人が遺言の存在のみ確認します。手数料は公正証書より割安です。内容はチェックされないので、遺言の中身を秘密にできますが、書式に不備があれば無効になる恐れもあります。保管は自分で行う必要があり、検認続きも必要です。
これから遺言書を作成しようと考えている方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

<自筆証書遺言の法務局での保管ポイント>

〇保管料は有料

〇紛失や改ざんの防止

〇記載モレによる無効防止

〇「検認」不要

 

千葉旭事務所  渡邉 武男

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