振替休日」と「代休」の違いについて
多くの会社において労働者を休日に出勤させる場合、振替休日、又は代休制度を実施していることかと思います。いずれの場合も「休日に勤務をして代わりに別の日に休む」という認識で何気なく使っていませんか?
しかしこの2つは似ているようですが、法的性質や実施要件などが異なりますので、注意が必要です。下記、それぞれの内容についてまとめています。
●振替休日
振替休日とは、あらかじめ休日と定められていた日を事前の手続きにより労働日として、その代わりに他の労働日を休日にすることをいいます。つまり、振替休日は、労働日と休日を事前に交換する制度ということになります。
休日を他の日に振り替えた場合、もともと休日の予定だった日に勤務をしても、通常の勤務として扱われます。
→休日労働に対する割増賃金の支払義務は発生しません。
※ただし、週をまたいで休日を振り替えたことにより、振り替えた週の労働時間が40時間を超えた場合は、時間外労働に対する割増賃金(2割5分)を支払わなければなりません。
振替休日を行うためには、以下の要件が必要となります。
・就業規則に振替休日の規定があること
・振替休日を事前に特定し、前日までに通知
・振替休日はできるだけ近接した日が望ましい
●代休
代休とは、定められている休日に労働が行われた後に、その代わりとして休みを与えることをいいます。事後に休みを与えたとしても、休日に労働させたという事実は変わらないため、休日労働に対する割増賃金(3割5分)を支払う必要があります(法定休日の場合)。
代休は、恩恵的な休暇ともいえますので、与えるための要件は特にありませんが、制度として代休制度を設ける場合は、代休を付与する条件や賃金の取り扱いについて就業規則等に具体的に定めておくことが望ましいです。
「振替休日」と「代休」、どちらも意味合いとしては同じように感じますが、法的な要件だけでなく賃金面でも性質が異なるものです。「振替休日」なのか、「代休」なのか。概括的には事前に決めるか、事後に決めるかという違いだけですが、会社側として制度を上手く活用するためにまず「振替休日の定めが就業規則に記載されているか」、「人事担当者や労働者が振替休日と代休の違いについて理解できているか」などを確認してみてはいかがでしょうか。
コンパッソ社会保険労務士法人 藤本 豪