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大相撲の懸賞金と宣伝費について

 何かと話題の尽きない日本相撲協会。ここ数年は本場所のチケット取得がとても困難な状況です。
幸運にも念願のチケットを手に入れ、両国国技館へ観戦に行ってきました。
連日、入場券完売を意味する「札止め」で「満員御礼」の垂れ幕が下がります。人気の背景には、若手力士の台頭やイケメン力士等による相撲女子の増加等が上げられます。また、モンゴル一色から日本人横綱・大関の誕生、日本人や東欧出身力士の優勝により変わってきています。しきたりを問題視される事もありますが、今後も日本の国技・文化として更に発展してほしいです。
 
 本題の「懸賞」ですが、幕内取組にのみ、希望の取組や応援している力士の取組等に懸けることができます。懸賞を出すと、その日の会場入場者全員に配られる取組表に「提供者名」が印刷され、取組直前には場内放送で読み上げ、土俵上を呼出しが懸賞旗を掲げて1周します。
 テレビ放送では、懸賞旗が回る場面は望遠になり、場内放送も聞こえませんが、実際場内で見聞きするととても楽しく特にキャッチコピーは、観客の記憶に残るようなインパクトが強く工夫されたものばかり。アナウンサーが吹き出す事もありました。
 また、懸賞旗や力士の化粧まわしには、美しい刺繍が施されており、各社(出身校や地元後援会等も有)の宣伝に大いに役立っています。宣伝費が含まれる懸賞金は、1本62,000円(税込)です。この中から、協会への手数料(宣伝費)として5,300円が差し引かれます。全国放送(一部海外にも配信有)の宣伝費5,300円は、高いでしょうか?安いでしょうか? 残り56,700円の内、力士が直接もらえるのは30,000円となります。ちなみに差し引き26,700円の内訳は、勝ち力士本人名義の預かり金として日本相撲協会が積み立てるために預かり、本人の税金の支払に使用され、余りは引退後にもらえるようです。 永い相撲の歴史の中には、名勝負になると、勝ち力士自身が、両手で受け取らないと持てないくらいのこともありました。
 では、これまでの懸賞金の最高本数と最高額は一体どれ位のものだったのでしょうか。
 これまでの懸賞金の最高本数と最高額は、平成27年1月の白鵬-鶴竜戦と同年9月の鶴竜-照ノ富士戦における、本数は61本、金額にして183万円という額になります。 力士1人につき3万円を受け取れるので、白鵬、鶴竜は一つの取組みだけで、なんと93万円という額を受け取ったという事になります。この懸賞金は、本来であれば取り組み1つにつき50本という制限があります。理由は、土俵上を懸賞旗が何分も回る事で観客も力士も集中力が欠け、相撲の中身も薄れ、相撲人気の凋落にも繋がるからです。 ただ白鵬の場合、6場所連続優勝という記録がかかっていた事情があり、特例として制限を解いたという事情があります。一方の鶴竜も初優勝がかかっていたという事情がありました。 ちなみに「1場所」での懸賞金の最高本数は朝青龍の290本となります。 力士の強さが、そのまま懸賞金の本数に表れてくると言ってもおかしくはないでしょう。
 この記録を超える日はいつでしょうか?楽しみです。

参考:日本大相撲協会

千葉流山事務所 総務部 吉田和美

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