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年俸制とはどんな給与体系?ボーナスや残業代の扱いは?

企業と社員にとって、給与の支払いはとても重要です。

多くの企業では月給制を取り入れていますが、年俸制について知っておくことも必要です。

今回は年俸制について、メリットやデメリットも含めご紹介いたします。給与体系について、月給制以外の選択肢をお考えであれば、ぜひ参考にしてください。

年俸制とは?

年俸制とは、1年単位で給与額を決定していく給与体系のことです。

1年単位とはいっても、1年に1回まとめて支払うのではなく、労働基準法第24条に基づき、毎月決められた給料日に支払います。

年俸制は、月給制と比べて自分の成果が反映されやすいことが大きな特徴です。前年度の個人の評価や成績、または今後の期待値などを元に次年度の給与額を決定するなど、企業によって、年俸額の決定方法は様々です。

厚生労働省が平成26年に行った「就労条件総合調査」では、日本の約9.5%が年俸制を取り入れています。年俸制を取り入れている企業は、外資系企業が多いです。またプロスポーツ選手などのように、成果がはっきりとわかりやすい職種も年俸制を取り入れています。

年俸制のメリット

・経営計画が立てやすい

年俸制を採用すると、企業としては年間の人件費をあらかじめ把握することができるので、長期的な経営計画が立てやすくなるというメリットがあります。

社員にとっても、年俸制であれば年収の目安がはっきりとしているため、住宅や車など、大きな買い物の計画を立てやすくなります。

また社員にとっての他のメリットとしては、期待されるほどの成果を上げられなかったとしても、年度内であれば減給されるリスクが低いので、成果損失の挽回に努めることができます。

・社員の労働意欲向上につながる

勤務年数や年齢を考慮した月給制よりも、年俸制は前年度の評価を重視するので、社員のモチベーション向上につながります。

どんなに優秀な新入社員でも、長年勤務している社員に給与面では勝てなければ、努力が無駄になってしまうと感じてしまいがちです。一方で努力を怠っている社員は、最低限の仕事をすれば勤務年数に応じた給与がもらえると安心しきっているかもしれません。

勤務年数や年齢に関係なく評価されると思えば、おのずと成果を上げようと努力します。逆に勤務年数の長い社員も、個人の力量で評価されるのであれば、経験や知識をフルに活用して、若手に負けじと努力します。

このように個人の力量が公平に判断される年俸制は、社員の労働意欲に働きかける作用があり、この点が企業全体にとっての大きなメリットとなり得ます。

年俸制のデメリット

・年の途中で給与額を変更できない

仮に社員が期待した成果を上げられなかったり、大きな損失を発生させたりしたときに、年度中には減給できないことが、年俸制のデメリットです。年俸制では、年度中の減給は契約違反にあたる場合があります。これは、企業にとって大きな損失です。

また企業が経営不振に陥ってしまっても、年度内は一定の給与を払い続けなければいけません。仮に年俸額の変更を社員に申し立てる場合は、社員の同意が必要になります。社員が同意しない場合は、給与を減額することはできません。

・社員指導の機会を逃しやすい

月給制で給与改定をする際の面談は、社員の評価をフィードバックするよい機会です。

昇給であればこれまでの努力を褒めたたえ、減給であれば改善点を共に考えるなど、四半期や半年ごとに、社員に対してのフィードバックをすることができます。

年俸制では、給与額に関しての面談の機会が、1年に1回だけということにもなりかねません。
年俸制であっても、できれば一定期間ごとに社員のフィードバックを行える時間を持ちましょう。

年俸制における残業代やボーナスの扱い

・賞与

年俸制では、ボーナスの支払いに関して「年俸額にボーナスを含む」と「年俸額と別にボーナスを支払う」の2つのパターンに分かれます。

年俸額にボーナスを含むパターンでは、例えば「年俸額÷14か月」として、12か月分を毎月の給与、残り2か月分を夏と冬のボーナスとします。また年俸額と別にボーナスを支払うパターンでは、「年俸額÷12か月」として、業績や評価に応じたボーナスを支払います。

いずれの方法も、雇用する際に交わす労働契約書にて、明確に記載する必要があります。

・残業代

年俸制であっても、残業代は必ず支払わなければなりません。法定労働時間の「1日8時間、週40時間」を超えた分に関しては、残業代の支払いが必要です。

ただし管理監督者や固定残業代制に基づいたみなし労働時間制を取り入れている場合、残業代は支払いません。しかし休日出勤や深夜時間帯に業務を行った場合は、割増賃金が発生するので、注意が必要です。

まとめ

日本では年俸制を取り入れている企業はまだ多くありません。

しかしこの制度には、勤務年数や年齢といった条件に縛られず社員を正当に評価できたり、年収が飛躍的にアップすることで社員の労働意欲を掻きたてることができるという大きなメリットがあります。

また、社員を採用する際は、年俸制のメリットをアピールした募集を行うこともできます。給与が年俸制であることに魅力を感じる人の多くは、成果主義で仕事をしたいと考えています。そのため意欲的で向上心にあふれる人材を集めることができ、結果として会社の利益向上につながるでしょう。

外資系企業に年俸制が多いのは、毎年社員に適切な評価を行い、見合った報酬を支払うことで、社員のモチベーションを向上させ、会社の利益や売上に貢献しようと努力します。またスポーツ選手やアスリートなどのように、1年の成果が大きかった場合は飛躍的に給与が上がることも期待できます。いずれも成果がでなければ、給与が下がるという明確な評価が下されるために、社員は日々努力を怠りません。

年俸制のメリット・デメリットをしっかりと把握し、自社が年俸制に向いている業種であれば、取り入れてみることもよいと思われます。

(画像はPixabayより)

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