家族持ちにとって嬉しい制度の「家族手当」、内容や相場をチェック
支払いは、配偶者や子供、定年退職した親が対象
家族手当は、家族を持っている社員に対し、企業が福利厚生として支払う手当のことで、配偶者や子供、定年退職した親を対象として支払われます。
家族がいる社員にとって、家族手当は嬉しい制度といえますが、最近では共働きで配偶者が働くことが一般的になったこともあり、配偶者に支払う必要性が薄れたことから、家族手当を廃止するケースも見受けられるようになりました。
家族手当とは?
家族手当とは、家族を持つ社員に対して支払われる手当のことです。
法的にみると、企業は家族手当を支払う義務はなく、福利厚生の一環として、企業が独自に支払う形となっています。そのため、企業によっては家族手当の制度を取り入れていない場合もあります。
家族手当の相場については、厚生労働省が2015年に発表した「平成27年就労条件総合調査の概況」を参考にします。
それによると、家族手当、扶養手当、育児支援手当を含めた数値となりますが、労働者1人あたりの平均支給額は1万7282円となっています。
なお、1000人以上の企業の平均支給額は2万1671円、30~99人未満の企業は1万2180円です。
家族手当は、配偶者と子供、定年退職した親に対して支給されますが、それらを合算すると、家族手当の相場は1万円台前半から2万円前後になるとみられます。
参考:厚生労働省 平成27年就労条件総合調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/
家族手当の支給基準は?
家族手当の支給基準は、家族を持っていることが前提となります。
それ以外の条件としては、共働きの場合に配偶者の年収が一定額を超えないこと、子供または親の年齢が一定の条件を満たしていること、家族と同居しているか、あるいは家族を扶養しているか、ということがあげられます。
配偶者の年収に関しては、年収が103万円を超えないことが条件となっている場合が多いです。
その理由としては、配偶者の年収が103万円を超えると、配偶者自身が所得税を納税することになりますが、企業としては、「配偶者が税金を納められるほどの年収があれば家族手当は不要」と判断しているためとみられます。
また、配偶者の年収が130万円を超えると、夫の社会保険の扶養から外れることになりますが、企業によっては、配偶者の年収が103万円を超えた場合ではなく、年収が130万円を超えた場合に家族手当が支給されなくなる場合もあります。
次に、子供と親の年齢ですが、子供と親が収入を得られない年齢であることが条件となりやすく、子供の場合は18歳以下、または22歳以下、親の場合は60歳以上が支給条件となるケースが多いです。
そのほか、企業によっては支給条件を同居とする場合や、扶養とする場合があります。例えば、一人暮らしをしている大学生の子供に仕送りをしている場合、同居が条件の場合は支給されませんが、扶養が条件の場合は支給されることになります。
家族手当を廃止する企業も
家族を持っている場合に支給される家族手当ですが、現在では家族手当を廃止する企業もみられます。
その理由としては、共働きをする家庭が多くなり、配偶者も一定の収入が得られるようになったため、配偶者にも支給される家族手当は、その意味合いが薄れてきたためです。
しかし、単に家族手当を廃止するだけではなく、これまで家族手当に配分されていた原資については、他の目的に配分されるケースが多くなっています。
一例をあげると、原資を基本給に上乗せしたり、あるいは「子育て手当」として子供向けの手当を充実させたりすることがあげられます。
家族手当を支給する企業は減少傾向であるものの、社会が常に変化していることを踏まえれば、社会に適した制度に変更していくことは適切といえるのではないでしょうか。
(画像は写真ACより)