休業手当の気になる点を解説!金額や休業補償との違いも
このところ続いている不景気や感染症などを理由に勤め先が休業になったひとは多いのではないでしょうか?やむを得ない理由で会社や店舗が休業したり、労働者個人が休業しなくてはならなかったりする場合、使用者から休業手当が支払われます。今回は、休業手当の種類や金額について解説します。
休業手当とは?
休業手当とは、使用者がやむを得ない理由で労働者を休業させる場合に、生活を保障するために支給する手当のことを指します。休業の定義は、労働者が働きたいと思っているにもかかわらず、働くことができない状態にあることです。また、手当の支給額は平均給与の6割以上です。
例えば、月々の平均給与が20万円の場合は、下記の計算式で休業手当の支給額の最低支給額を計算できるでしょう。
休業手当の支給額=平均給与×0.6=20万円×0.6=12万円
休業手当の種類は全部で3種類
休業手当には、「使用者の責任による休業」「出産前後の休業」そして「育児や介護による休業」の3種類があります。
○使用者の責任による休業
使用者の責任による業績悪化や経営不振で会社や店舗が休業することになった場合、休業手当が発生します。ただ、台風や地震などの自然災害を理由に休業する場合は、使用者の責任ではないため、休業手当は支給されません。
○出産前後の休業
使用者は、産前産後の女性に労働者休業手当を支給しなくてはなりません。なぜなら、使用者は、下記の条件に当てはまる女性労働者を働かせてはならないことが労働基準法で定められているからです。
・産前6週間以内の休業希望を出した女性労働者
・産後8週間以内の女性労働者
また、妊婦に対して残業や休日出勤、夜勤を求めることも労働基準法で禁止されてます。
○育児や介護による休業
労働者が家族の育児や介護を理由に仕事を休まなくてはならない場合にも休業手当が発生します。介護の場合は、介護する相手に身体や精神に原因がある障害があり、日常生活を一人で行うことが不可能な状態であるときにのみ手当が支給されます。
休業手当と休業補償の違い
休業手当によく似た手当に休業補償というものがあります。休業補償とは、業務が原因でケガをしたり病気になったりした場合に支払われるお金です。下記の2つの違いがあげられます。
まず、休業手当については課税対象になりますが、休業補償は非課税です。なぜならば、休業手当は賃金、休業補償は療養のための給付金という扱いになるからです。
また、休業手当と休業補償では支給額が異なります。まず休業補償の支給額が平均給与の6割です。一方で、休業手当は、平均給与の6割以上の支給額を貰えます。従って、支給額のみを比べると、休業手当の方が支給額が多いでしょう。
ただ、休業補償の場合は、休業補償の他に、医療費全額分の補償金も受け取れます。
休業手当を出す際の給与明細作成方法
休業手当を出す場合の給与明細は、休業部分の給与を欠勤として差し引き、休業手当を上乗せする形で記載します。
理由としては、休業手当のみをそのまま記載する方法をとると、どれくらいの期間休業したのかということが、読み取りづらいといったことがあげられます。
やむを得ない理休業した際受け取れる「雇用調整助成金」
また、やむを得ない理由で休業する際、会社や店は国から「雇用調整助成金」を受け取れます。「雇用調整助成金」とは、労働者の休業手当の一部を国が助成し、会社や店を支援するための助成金です。
雇用主は、雇用助成金の申請を行う際、労働者に支払った休業手当の給与明細を国に提出しなければなりません。
また、雇用助成金の申請する際の給与明細も、休業部分の給与を欠勤として差し引き、休業手当を上乗せする形で記載する必要があります。
まとめ
不景気や感染症を理由に受け取るひとが増加している休業手当。今回は、その休業手当についてくわしく解説しました。当記事のポイントをまとめておきます。
・休業手当はやむを得ない理由で休業する際、使用者から労働者に支払われるお金
・休業手当の支給額は平均給与の6割以上
・休業手当と休業補償の違いは支給額と課税の有無
・休業手当の明細は休業部分の給与を一度差し引いてから手当分を上乗せする
休業手当を支払わなくてはならない立場の使用者や、休業手当を受ける労働者はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか?
(画像はぱくたそより)