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人事制度づくりにおいて重要なこと

少子高齢化が進んでいる日本では、特に中小企業においては人手不足が大変深刻な問題となっています。生産年齢人口(15~64歳)は1990年以降ずっと減少が続いており、この先も増加する見込みがないとされています。そのため今いる社員に長く勤務してもらうため、あるいは他企業との違いを出すことで採用競争に勝つため、魅力のある人事制度に変えたいとお考えの会社様は非常に多いではないかと思いますが、人事制度づくりに挑戦したものの途中で挫折してしまったということもよく耳にします。

弊社でもクライアント様の人事制度づくりをお手伝いさせて頂くことが多いですが、この人事制度には大きく分けて「賃金制度」「等級制度」「評価制度」があります。ここでは割愛しますが、どれもとても重要なもので3つが一体として機能していくように作り込んでいくことが必要なのですが、この一連の人事制度づくりにおいては特に次のことを念頭に置きながら進めて行くように注意しています。

 それは人事制度には「衛生要因」と「動機づけ要因」があるということです。
ご存知の方も多いと思いますが、アメリカの臨床心理学者のフレデリック・ハーズバーグが提唱した「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」という理論ですが、仕事においては、なければ人のやる気を阻害し不平不満に繋がってしまう「衛生要因」と、あれば人のモチベーションを高めることができる「動機づけ要因」というものがあるという考えです。

「会社の経営方針」「管理体制」「上司との人間関係」などは典型的な衛生要因とされており、充実させるとモチベーションの低下を防ぐことができると考えられています。ただ言い方を変えれば充実していてもモチベーションが上がるわけではなく、むしろ充実していて普通であるというものです。

一方、「動機づけ要因」としては「達成感」「承認」「仕事そのもの」「責任」などがあり、充実させることでモチベーションの向上に繋がると考えられています。こちらも言い方を変えると、充実していないことですぐに不満が生じるものではありませんが、あればあるほど良い、というものです。

なお「給与」や「同僚との人間関係」は衛生要因でもあり、動機づけ要因でもあると考えられています。

こうしたことを念頭に置いておくと、例えば「給与に不満を持っている社員が多いからとりあえず賃金表を作り変えて社員を満足させたい」や「人事考課表がなかったから不満が多かった。だから人事考課表を作って公平な評価ルールが存在する会社にして社員を満足させたい」という考え方だけでは、なかなか思うような結果が出ないことも納得して頂けるのではないかと思います。

特に今年はコロナの影響もありますので、賞与を例年のように支給することができない、来年の昇給もどうなるか分からない、という状況に陥ることも多いと思いますが、このような時だからこそ、会社の経営方針や人材育成の方針などを今一度真剣に考えるよい機会と考えて、前向きに人事制度づくりに挑戦してみても良いのではないでしょうか。弊社ではお客様の人事制度における問題点を一緒に考え、制度づくりのお手伝いをさせて頂いておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

コンパッソ社会保険労務士法人 
西山史洋

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