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守らないと罰則も!給与計算の「賃金支払い5原則」

「賃金支払い5原則」を知っていますか

会社からの給与は労働者の生活を支える基盤となります。使用者は、法律に則って賃金を支払わなければいけません。

賃金の支払い方法については、労働基準法第24条において明確に規定されており、「賃金支払いの5原則」と呼ばれています。今回は「賃金支払いの5原則」について、1つ1つ丁寧に見ていきます。

通貨払いの原則

労働基準法第24条第1項では、賃金は通貨で支払うことが義務付けられています。これは、通貨以外の現物支給を禁止するもので、日本国内では、日本のお札とコインで支払わなければいけないことを意味します。外貨や小切手、手形で支払うことも原則NGです。ただし、労働者の同意などがあれば、銀行振り込みによる支給は可能です。

また、労働組合または労働者の過半数を代表する者と労働協定を結んだ場合は、例外的に現物支給が認められる場合があります。退職金や退職手当についても、労働者の同意が得られた場合に限り、現物支給も可能です(参考:未払い賃金・残業代請求ネット相談室)。

使用者が通貨払いの原則に違反した場合は、労働基準法120条の規定に基づき、刑事罰として30万円以下の罰金を支払わなければいけません。

直接払いの原則

直接払いの原則は、賃金は労働者本人に直接支払わなければいけないとする原則です(労働基準法第24条第1項)。この原則により、使用者と労働者の間に第三者が入り、不当に搾取することを防ぐことができます。労働者への代理人や親権者を経由して支払うことも違反となります。

労働基準法120条の規定に基づき、直接払いの原則に違反した場合は刑事罰として30万円以下の罰金の支払いが求められます。

全額払いの原則

全額払いの原則とは、指定された支払日に、賃金の全額を支払わなければいけないとする原則です(労働基準法第24条第1項)。賃金の一部が支払われないことによって、労働者の生活が不安定になる可能性があります。労働基準法第24条では使用者に賃金の全額払いを義務付けることで、労働者の生活を守っています。

LSC綜合法律事務所が運営する「未払い賃金・残業代請求ネット相談室」は、全額払いの原則は、賃金支払い5原則の中で最も争点になることが多い原則だとしています。会社が積立金として賃金の一部を支払わないことや、貸付金と賃金を相殺することもNGです。

全額払いの原則に違反した場合は、労働基準法120条の規定に基づき、刑事罰として30万円以下の罰金が科せられるので注意しましょう。

毎月払いの原則

毎月払いの原則は、毎月少なくとも1回は賃金を支払わなければいけないとする原則です(労働基準法第24条第2項)。この原則は、賃金の支払いが長期間空き、労働者の生活が不安定になることを防いでいます。

年俸制を採用している企業でも、1年に1回まとめて賃金を支払うことは労働基準法に違反します。年俸制で定めた賃金を12で割って、毎月一定額を支払うことが推奨されます。ただし、臨時に支払われる賞与などは除きます。違反した場合は、労働基準法120条の規定に基づき、刑事罰として30万円以下の罰金が科せられます。

一定期日払いの原則

一定期日払いは、「毎月25日」というように、毎月1回以上一定の期日に賃金を支払わなければいけないとする原則です(労働基準法第24条第2項)。一定払いの原則と呼ばれることもあります。

一定期日払いは、労働者の生活を安定させるためにあります。原則として支払期日を定める必要があるため、毎月25日から30日の間のようは幅をもたせた場合は労働基準法に違反します。ただし、毎月払いの原則と同様、賞与などは例外になります。

違反すると、労働基準法120条の規定に基づき、刑事罰として30万円以下の罰金を支払う必要があり、労働者からは遅延損害金などを請求される可能性あります。

まとめ

常識のようにも思える賃金支払い5原則ですが、知らず知らずのうちに違反している場合があります。細かいところまでもう一度確認し、法律に則って、賃金を支払うようにしましょう。

(画像はphoto ACより)

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