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自然災害に遭われた方へ~雑損控除適用の検討を~

2025年8月の、九州地方での線状降水帯による大雨によって、被災されたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。
この記事は2024年に作成されたものです。
自然災害に遭われた方々に少しでも役立ていただきたいと、記事にいたしました。少しでも参考にしていただけますと幸いです。

近年、都市部においても毎日のように激しいゲリラ豪雨に襲われたり、また台風が強い勢力を保ったまま日本列島に上陸したりするなど、風水害のニュースを耳にする機会が多くなっています。実際に家財や住宅に損害を受けてしまった方も多いのではないでしょうか。

そんな時、少しでも経済的な負担を軽減できるよう、確定申告をすることで受けられる「雑損控除」という制度があります。
雑損控除とは15種類ある所得控除のうちの一つで、地震、台風、火災などの災害や、盗難、横領などによって資産に損害を受けた場合に、損失額のうち一定の金額を所得から控除できるものです。これを適用して確定申告を行うことにより、所得税や住民税の納税額を軽減することができます。

雑損控除を受けるには
雑損控除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
・雑損控除を受けられる対象者
納税者又は納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下の方
→ 納税者本人だけではなく、例えば収入のない配偶者の所有する資産が受けた損害も、納税者本人が確定申告をすることで控除を受けられます。
・対象となる資産
住宅、家財など、生活に通常必要な資産であること
→ 例えば別荘、貴金属、書画、骨董などで1個または1組の価額が30万円超のものは、「生活に通常必要でない資産」とされますので対象外となります。また、棚卸資産や事業で使用している固定資産に生じた損害も、雑損控除を受けることができません。
・損害の原因
地震や風水害などの自然災害、火災などの人為的災害、害虫などの生物による災害、盗難、横領に限る
 → 詐欺により受けた損害は対象外です。近年社会問題となっているいわゆる特殊詐欺による損害も残念ながら対象外となります。

控除を受けられる金額
次のうち、いずれか多い方法の金額です。
① 差引損失額(※) - 総所得金額等×10%
② 差引損失額のうち災害関連支出の金額 - 5万円
※ 差引損失額・・・損害金額+災害等に関連して支出した金額-損害に対して受け取った保険金の額

必要な書類
雑損控除を受けるためには、災害等に関連して支出した金額の領収証など、一定の書類を添付して確定申告を行う必要があります。

他にも注意点があり、また手続きも複雑なため、一人で対応するのが難しいと感じる方も多いでしょう。コンパッソ税理士法人では、雑損控除の手続きに関するご相談をお受けしております。お気軽にご相談ください。

直近では南海トラフ地震臨時情報が発表されるなど、地震に対する警戒感も高まっています。雑損控除を適用して確定申告を行うということは、既に災害が発生したということでもありますので、そのような状況にならないことが一番ですね。

横浜青葉事務所 村山健太

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