
~保育所経営~ 1%を知る!
自園の経営分析をしたことはありますか。
分析の中で、各種経費の比率が「%」表示で示され、自園は平均に比べ高い、低いなどと表現がされることがあります。
「うちの園の○○比率は、平均より5%高いのか・・・。でも△△比率は平均より3%低いな・・・。」
平均より高い、あるいは低い、ということは、それがすぐに良い悪いということにはなりませんが、今後の経営面での方向性を考える際にはヒントになります。
ところで、この「%」による表示ですが、例えば1%と言われた場合に、その金額等のボリュームがどれくらいになるか、すぐにイメージできるでしょうか。
一般的には各経費の額が収益に対してどのくらいの割合を占めているか、で○○比率を表します。
「サービス活動収益計」が、100,000千円、「人件費」が、70,000千円だったとすると、一般的にいう人件費率は、70,000千円÷100,000千円=0.7 → 70% と表現されます。
さて、ここからが本題になります。今回は「1%を知る」というタイトルですが、この1%、上記の例で言うとどのようになるでしょうか。そうですね、サービス活動収益計に対しての1%となりますから、100,000千円×1%=1,000千円、つまり100万円となります。
定員や公定価格に変動がなければ、基本的には各園におけるサービス活動収益計が大きく変わることはないので、自園の「1%」が金額的にどの程度のボリュームであるかをまずは押さえるとよいでしょう。
次に、この1%をどのように使うか、です。
例えば、中長期的に建物の修繕を考えている場合を想定してみます。
10年後に修繕をする計画で、5,000万円必要だとすると、1年あたり500万円を残せばよいことになりますが、この計画段階では収支がプラスマイナス0円だとします。このままだと10年後に5,000万円を捻出することはできません…
したがって、何らかの形で毎年500万円を残さねば、ということになり、各種経費を見直すことにします。
では500万円とはどのような金額でしょうか。1%が100万円ですから、500万円は5%相当額となります。
500万円を捻出する方法の一つとして、各経費を合計で5%削減できればよいことになりますね。
次に、どの経費を削減するか(できるか)を検討します。
ここで参考になるのが、分析資料などで目にする平均値です。平均に比して比率が高めに出ている費用科目について検討するのです。なお、地域や定員数など、自園と環境が近い抽出範囲でみたほうがよいです。(例:人件費などは地域によって幅がある場合もありますので)
平均より高いからといって、それが悪いことであるとか、確実に削減できるという話ではありませんが、削減できる可能性があるとは思います。例えば、業務委託の内容・仕様や、購入しているモノの質などを検討してみます。
あるいは、人件費などは、職員1人の人件費は300-400万円/年だとすれば、これは3-4%に相当します。
退職などで人数が減った場合に、業務の回し方の工夫などを行うことで新たな採用をすることなく既存業務をまわせれば、3-4%を捻出できることになります。人件費率が平均より数パーセント高い、と分析結果が出た場合、検討の余地はあります。
上記は例としてわかりやすく表現したものですが、大事なのは「%」がいくら位に相当し、その金額は実際の費用に置き換えた場合、どのような内容になるのか、頭の中でいつでも変換できるようにしておくことだと思います。
削減というと、品質が下がるとか、人数が減ることで業務の負担が増加する、というイメージがありますが、そうではなく、 工夫をしたり効率化を図る、ということです。特に間接業務などですね。
例えば記録物を紙ではなく、電子化することを考えれば、書く作業、紙での出力、回覧、保管、紙の購入・準備などの作業はなくなり、この部分にかかる手間はなくなります。結果として、場合によっては残業がなくなるかもしれない、元々残業がなければ、浮いた時間は保育そのものの質を上げるために費やせる可能性大です。
(電子のツールに入力する時間があるかもしれませんが、これを差し引いても浮く時間はあるでしょう。)
電子化に限らず、今まで違う新たなことを行う場合には、その切替に労力を要しますが、軌道に乗るまでのことですから、そのあたりの共通認識を経営陣と職員の方とで持てればよいと思います。
「1%」を知って、経営に役立ててみてはいかがでしょうか。
コンパッソ横浜青葉事務所
砂田力