自分らしく働くために。知っておきたいフリーランスと副業の違いとは
多様な働き方が認められる時代に
厚生労働省が働き方改革を推進していることも後押しとなり、多様な働き方が認められる社会になってきました。独立や副業の敷居も下がりはじめ、フリーランスとして働く人も増えつつあります。
フリーランスは、自分にあったスタイルで働くことができたり、時間や場所を自由に選べたりできるメリットがあります。一方で、収入が安定せず、病気やケガによって仕事を中断したフリーランスが1割いるなど、課題が多いのも現状です。(参考:フリーランス実態調査結果)
柔軟な働き方ができるフリーランスですが、副業とはどう違うのでしょうか。後悔のない働き方を選択するために、フリーランスと副業の違いをみていきましょう。
雇用契約の違い
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会は、「フリーランス白書 2018」において、フリーランスの定義を「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」としたうえで、大きく独立系フリーランスと副業系フリーランスに分けています。
副業系フリーランスは、本業をもち、企業や組織に雇用されて仕事をしています。すき間時間を使って仕事をしている副業系フリーランスは、ここでは「副業者」ととらえ、フリーランスとは分けて考えることとします(以降、フリーランスは独立系フリーランスを指します)。
副業者が企業や組織に所属しているのに対し、フリーランスは企業や組織に属さず雇用関係をもちません。多くの人が業務請負契約や準委任契約で仕事を請け負い、個人のスキルや知識を活かして報酬を得ています。出社時間や出社日などの決まりがなく自由に働くことができますが、固定給与もありません。
納税方法の違い
フリーランスであっても、副業者であっても、働いて収入を得る全ての人に納税義務があります。
フリーランスの場合、記帳や決算などを全て自分で行い、所得税の確定申告書の作成も自ら行わなければいけません。尚、前々年分の課税売上が1000万円を超える場合は消費税の確定申告も必要になります。(参考:国税庁「個人事業主の方の確定申告」)
一方、副業者の場合、本業の所得税額は会社の年末調整によって決定します。年末調整に関する書類の記入は必要になりますが、基本的には会社に任せればOKです。副業で得た収入が20万円を超える場合に限り、確定申告が必要です。(参考:国税庁「副収入などがある方の確定申告」)
税制面の優遇が受けられるため、フリーランスの場合、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に事前に提出したうえで、青色申告制度を利用することが推奨されます。
社会保険の違い
企業や組織に雇用されている副業者は、健康保険、年金保険、雇用保険、労災保険に加入していますが、フリーランスになると、企業に勤めていたときに加入していた社会保険から外れなければいけません。
健康保険組合の資格を喪失し、保険証も返却する必要があります代わりに、それぞれの市区町村が運営する国民健康保険に加入しなければいけません。
また、会社に雇用されていたときには「国民年金」に加え「厚生年金」に加入していますが、フリーランスは「国民年金」1本になります。家族がいる場合には、会社員に比べて納付料の負担が重くなり、将来受給できる年金金額は少なくなります。
まとめ
フリーランスは、企業や組織に所属していたときとは異なり、時間や場所などに縛られることなく、自由に働くことができます。しかし、雇用されていたときに比べて、自分でやらなければいけない業務が増え、社会的な信用を得るのが難しかったり、社会保障などの制度が整っていなかったりするのが現状です。
フリーで働く人々の要望を受けて、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会では、仕事をするうえで起こりうるリスクをカバーする「賠償責任保険」、傷病手当金や労災保険の代わりとなる「収入・ケガ・介護の保険」などを用意しています。会社員からフリーランスに転身する際には、フリーランス用の保険に加入するなどし、安心して働ける環境を自分で整えることが推奨されます。
(画像はphoto ACより)