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接待交際費について解説|経理初心者に教えるべき基礎知識

接待交際費は、企業活動において重要な経費の一つです。特に経理初心者にとっては、その取り扱いが複雑であり、正確な知識が求められます。

また令和6年度税制改正のより接待交際費の取り扱いが変更となり、経理責任者も同様に、新しくなった判断基準や税務対策を学び直す必要もあります。

この記事では、経理責任者が部下に説明するために、接待交際費の基礎知識や改正ポイント、具体的な計上方法までを詳しく解説します。これを参考にすれば、接待交際費の取り扱いに自信を持って対応できるようになるでしょう。

接待交際費とは

まずは、経理初心者に伝えるべき接待交際費の基礎知識について紹介します。

接待交際費は、企業活動において取引先や仕入先などへの接待・謝礼として発生する費用です。具体的には、会食費用や贈答品などが含まれます。また、接待交際費は、事業に必要な費用として経費計上が可能です。

接待交際費は、他の科目と間違えやすいため、経理初心者には、取り扱いや計上方法について詳細に指導することが重要です。

企業における接待交際費の重要性

企業が接待や謝礼を行う理由は、取引先や仕入先などの関係者との良好な関係を築き、ビジネスを円滑に進めるためです。接待や謝礼を通じて、信頼関係が深まったり、コミュニケーションが円滑になったりと、ビジネスチャンスが広がります。

例えば、会食を通じて意見交換や情報共有を行うことで、取引先との連携が強化され、より良い提案やサービスが期待できるようになります。

接待交際費は、企業の成長と発展に欠かせない戦略的な投資であり、ビジネス関係を強化するために必要不可欠な経費です。

接待交際費として認められる対象

接待交際費として認められる支出には、以下のようなものがあります。

具体例
①取引先との会食費用 ビジネスディナーやランチなど、取引先との会食にかかる費用
②取引先へのお中元・お歳暮などの贈答品費用 季節の贈り物や特別な贈答品の費用
③取引先を招待するパーティーの費用 取引先を招待して開催するイベントやパーティーの費用
④取引先とのゴルフや旅行にかかる費用 ビジネスを目的としたゴルフコンペや旅行にかかる費用
⑤取引先の役員や社員に対する慶弔費 取引先の役員や社員に対する祝儀や弔慰金などの慶弔関連の費用

接待交際費に認められる支出は、パターン化されており、それぞれの種類について詳しく教えてあげましょう。

接待交際費として認められない対象

接待交際費は、他の勘定と間違えやすい科目です。接待交際費として認められない支出は以下の通りです。

具体例・処理方法
①事業とは関係のない食事会 個人的な食事、社内の人間だけが参加する飲み会
②個人的なお中元・お歳暮 プライベートな贈り物
③1人当たり10,000円以下の会食 1人あたりの費用が10,000円以下の場合は、会議費として計上
④従業員のみが参加する社内イベント 福利厚生費として計上
⑤広告宣伝目的の物品の贈与費用 カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいなどの贈り物も広告宣伝費として計上

接待交際費と似た勘定科目に、会議費・接待飲食費・福利厚生費があります。誤って仕訳することのないよう、経理責任者はそれぞれの違いについて説明してあげましょう。

接待交際費の注意点

ここでは、接待交際費の取り扱いで特に注意すべきポイントを紹介します。

2024年4月から変更された点

2024年4月1日から、接待交際費に関する税制が一部変更されました。特に注目すべきは、飲食費に関する損金算入額の改訂です。

新しい規定では、これまで損金算入が認められていた接待交際費の条件が変更されました。なお、従来通りの経費計上を続けると、控除できる金額が少なくなり、法人税負担が増加する可能性があります。

主な変更点(接待交際費の上限)
令和6年3月31日までの支払い
1人あたり 5,000円以下
現行 令和6年4月1日以降の支払い
1人あたり 10,000円以下
※10,000円以下の判定は、使用する会計方法に依存します。経理が「税込」か「税抜」のどちらで行われているかを確認し、それに基づいて判断しましょう。

経理責任者は、このような混乱を防ぐために、社内の経費計上ガイドラインを見直し、新しい規定に基づいた正確な処理を行うことが求められます。経理担当者向けの研修を実施し、新しい規定に対応できるよう準備を整えましょう。

税務調査に備えて適切な保存が必要

接待交際費は、税務調査でよくチェックされる項目の1つです。この接待交際費は他の科目と間違えて記入されることがあるほか、本来は接待交際費として認められない支出が計上されることもあります。そのため、接待交際費の計上と文書保存は慎重に行う必要があります。経理初心者には、以下の項目を確認させ、記録するように指示しましょう。

領収書の保存方法
飲食した日付
支払金額、飲食店名、所在地
接待相手の情報(会社名や氏名)
参加人数
会合の目的・具体的な内容
経理担当者には、日々の記録を丁寧に行うことが求められます。正確な文書管理は、税務調査での問題を防ぐだけでなく、企業の透明性と信頼性を保つためにも不可欠です。経理初心者には、領収書の確認・保管方法について教えてあげましょう。

接待交際費を損金算入できる上限額に注意

接待交際費の損金算入には制限が存在し、個人事業主や企業の規模に応じて上限が定められています。損金算入できる企業規模は、以下のようになるので注意が必要です。

損金算入できる接待交際費の上限
企業規模 年間の上限額
個人事業主 上限なし
※法人ではないため
資本金1億円以下の中小企業< 800万円または接待飲食費の50%
資本金1億円超の大企業 接待飲食費の50%

損金算入は特例措置と位置づけられているため、資本金または出資金が100億円を超える法人の場合は、交際費等の支出全額が損金から除外されます。

ケース別接待交際費の計上方法

接待交際費の計上は、経理初心者にとって特に注意が必要です。また、特定のケースでは消費税が非課税になることもあるため、正確な処理が求められます。以下では、消費税を含めた接待交際費の具体的な計上方法を説明します。

現金で会合の参加費を支払った場合

会合の参加費を現金で支払った際には、まず領収書を受け取ります。次に、参加者の情報と会合の目的を詳細に記録し、この情報を基に接待交際費を正確に計上します。参加人数を確認し、1人あたりの1万円以下であれば、会議費として計上可能です。

飲食するための費用の場合は、消費税を課税仕入として判断します。ただし、インボイス登録事業者でないと課税仕入れとして控除できないため、インボイス登録番号の有無もしっかり確認が必要です。

従業員が飲食を伴う接待を行う際には、インボイス登録事業者の店舗を選んでもらうようにしましょう。

取引先の葬儀に参列し香典を渡した場合

取引先の葬儀に参列し、会社として香典を支払った際には、接待交際費として計上します。この支出は役務(サービス)を提供してもらうためのものではないため、「不課税仕入」となり、消費税は課税されません。

得意先への渡す商品券を購入した場合

日頃の感謝を伝えるために得意先へ商品券を購入する場合、接待交際費として計上します。なお、商品券やプリペイドカードなどは、「非課税仕入」となるため消費税の控除ができません。

経費処理が多ければクラウド会計システムがおすすめ

現代のビジネス環境では、電子取引の増加に伴い、経費管理の効率化が求められており、クラウド会計システムの導入が飛躍的に進んでいます。
とくに、クラウド会計システムのAI読取り機能は大変便利です。AIを活用して領収書を自動で読み取り、手作業による入力ミスを防止や、時間を大幅に節約できます。AI読取り機能があれば、経理担当者の業務負担が大幅に軽減されるでしょう。

まとめ

接待交際費の管理は、経理部門の日常業務において極めて重要です。正確な記録と文書の保存は、税務調査への対応だけでなく、日々の業務の精度を向上させてくれます。

経理責任者は、接待交際費の確認作業から計上方法に至るまでの知識を部下にしっかり伝え、指導することが求められます。まずは、内部規定から見直し、作業内容を確定させましょう。これにより、経理部門はより効率的に運営され、精度の高い財務報告が可能となります。

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