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新型コロナワクチンの職域接種に係る課税関係について

国税庁は7月2日に、新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応や当面の申告や納税などに関して寄せられた質問等をFAQとして公表いたしました。今回はその中でワクチンの職域接種の課税関係についてご紹介いたします。

1 職域接種とは

ワクチン接種に関する地域の負担を軽減し、接種の加速化を図っていくため、企業や大学等において、職域(学校等を含む)単位でワクチンの接種を行うものです。

2 職域接種を行う上での事実関係(前提条件)

⑴ 職域接種の対象者は、会社の役員、従業員及び同居する親族(以下、「従業員等」という。)、関連会社の従業員等、取引先の従業員等及び接種会場の近隣住民。
⑵ 職域接種の実施にあたって、接種会場の使用料、運営費用、医師・看護師等の派遣を受けるための費用など、接種会場の準備のために要する費用(以下、「会場準備費用」という。)が、ワクチン接種事業の実施主体である市町村からの委託料収入(接種1回当たり2,070円(税抜き))を上回り、企業に費用負担が生じる。
⑶ 当該費用負担を被接種者に求めない。

3 法人税に関する取扱い

関連会社の従業員等、取引先の従業員等に会場準備費用の負担を求めない場合でも、当該費用負担は、法人税法上の寄附金の額又は交際費の額に該当しないとしています。
企業の従業員等のほか、関連会社及び取引先の従業員等もワクチン接種を受けることで社内の新型コロナウイルス感染症の感染拡大が防止され、企業の今後の業務遂行上の著しい支障の発生防止のため、つまり、業務遂行に必要な費用負担と考えられるためです。

4 所得税に関する取扱い

⑴ 企業が会場準備費用を負担した場合でも、ワクチン接種を受けた企業の役員及び従業員に対する給与として課税する必要はないとしています。また、これらの者以外の被接種者についても、所得税の課税対象にはならないとしています。
新型コロナワクチンの接種については、予防接種法の規定に基づき市町村において実施するものとされており、被接種者が接種に要する費用を負担することはないからです。
⑵ ワクチンの職域接種に係る接種会場までの交通費の取扱い企業の役員及び従業員の接種会場までの交通費については、職務命令に基づき出張する場合の「旅費」と同等と考えられますので、接種会場まで交通費として相当な額であれば非課税として差し支えないとしています。
⑶ ワクチン職域接種に係るデジタルワクチン接種証明書の取得費用の取扱いについて、役員、従業員がデジタルワクチン接種証明書を受けることが、企業の業務遂行上必要であると認められる場合には、役員及び従業員が負担すべき費用には該当しませんので、給与には該当しないとしています。
 
  
参照
国税庁HP質疑応答事例「新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/04.htm
                           

渋谷事務所 
熊谷 勇輝

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