金又は白金の地金を売却した際の注意点について
消費税が8%から10%に変更になったことで増税負担や軽減税率、キャッシュレス促進による還元等の消費者目線の環境の変化が日々取り沙汰されていますが、それ以上に企業及び経営者側は煩雑な対応に追われているかと思います。
消費税改正に伴い、税額等の数値だけではなく、必要書類の保管等細かい変更にも注意が必要です。今回はその一例として歯科医を例にお伝えします。
金又は白金の地金の課税仕入れを行った場合には令和元年10月1日以降に行う課税仕入より本人確認書類の保存が必須となりました。
歯医者で治療した際に金歯を持ち帰るという患者さんはあまり多くはないでしょう。
歯科医は患者さんに返却を申し出されない限り、回収した金歯は金属買取業者に売却することが通例です。
この際に金属買取業者に本人確認書類を提出しなければならないということです。もし歯科医が提出を怠れば金属買取業者が仕入税額控除の適用を受けられないことになります。金属買取業者からすれば仕入税額控除を受けられないことは大変な問題なので、当然に提出を要求してくるでしょう。
また、歯科医が金又は白金の地金を売却した際には雑収入として計上することが原則です。あってはならないことですが、バレないからと言って計上をごまかしたり、未申告のままでいる話をたまに耳にしますが、今後はこれまでのようにはいかないでしょう。
ここ数年で、対象企業に税務調査を行う前に取引先に対して実施される反面調査が増加しています。金属買取業者が正しく申告している場合、本人確認書類の提出の義務化により、申告漏れを確認することがより容易になる為、当局はこれまで以上に注視してくると考えられます。悪質と判断された場合には重加算税等の厳しいペナルティも課せられます。
日々帳簿を整備し、正しく申告することが経営を安全に行うことの近道です。思わぬ点で足元をすくわれぬよう、お悩みの際はコンパッソ税理士法人に是非ご相談下さい。
参考文献:国税庁「消費税法改正のお知らせ」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/h31kaisei.pdf
横浜青葉事務所 岡野幸雄