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輸出物品販売場制度について

 町中のデパート、大型家電店でよくみかける「TaxFree」の文字。最近では地方の観光地でもよくみかけるようになりました。
この「TaxFree」を掲げている店舗はいわゆる免税店といわれるもので、消費税法に規定する「輸出物品販売場」のことをいいます。今回はこの輸出物品販売場制度についてご紹介します。
○輸出物品販売場制度とは
 免税店を経営する事業者が、外国人旅行者などの非居住者に対し、免税対象物品を一定の方法で販売する場合に消費税が免除される制度です。輸出物品販売場として物品を免税販売するためには、下記の要件を満たす必要があります。
○免税販売の要件
⑴ 輸出物品販売場の許可を受ける
 輸出物品販売場を開設しようとする事業者(消費税課税事業者に限る)は、販売場ごとに、事業者の納税地の所轄税務署長の許可を受けなければなりません。許可を受けるためには、国税の滞納がないこと、免税販売に必要な人員や設備を満たしていることなど、一定の要件があります。
⑵ 非居住者に対する販売である
 免税販売できるのは、非居住者に対するものに限られます。
非居住者とは、外国人旅行者など日本国内に住所または居所を有しない方です。そのため、外国籍をもっていても日本の事務所に勤めている方などは該当しません。
⑶ 免税対象物品である
 非居住者に対する販売でも、その免税店で販売されているすべてのものが免税販売をできるわけではありません。非居住者が輸出するために購入する物品で、通常生活の用に供するもののみが対象となります。また、金額についても基準があります。
(例)
・一般物品(家電、バッグ、衣料品など)…販売価額の合計額5千円以上
・消耗品(飲食料品、医薬品、化粧品など)…販売価額の合計額5千円以上50万円以下
*2018年7月1日以降の販売より
 一般物品と消耗品の販売価額の合計額が5千円未満であっても、合計額が5千円以上であれば一定の要件のもと免税販売ができるようになりました。
⑷ 所定の手続きで販売をする
 免税販売にあたっては、①パスポートの提示を受け、②非居住者であることを確認、③購入記録表の作成、④購入者誓約書の提出、⑤購入記録表をパスポートへ貼付け等、所定の手続きを踏まなければなりません。
⑸ 購入者誓約書の保存をする
 購入者が提出した購入者誓約書等を事業者の納税地または輸出物品販売場の所在地に7年間保存をしなければなりません。

○制度のこれから
 輸出物品販売場制度は、これまで対象品目拡大や金額引き下げなど拡充の取り組みをしてきました。さらに2020年4月1日以降の販売より、現行は書面により行われている購入記録表の作成・貼付手続きが電子化されることとなり、データにて情報を提供することとなります。

 2017年に日本を訪れた外国人旅行者は2,869万人となり、この5年で3.5倍になっています。また、外国人旅行者の買い物代は年間16,398億円といわれ、この5年で約5倍となっており、外国人旅行者の買い物代が収入源となっている事業者も多くあるのだと思います。
2020年東京オリンピックでさらに外国人旅行者が増えると予想され、免税店としてショッピングでおもてなしをするお店も今よりももっと増えるかもしれません。

 免税店をお考えの方がいましたら、コンパッソ税理士法人までお問い合わせください。

出典:観光庁リーフレット「さあ、免税店になろう!」
http://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/pdf/pdf02.pdf

国税庁リーフレット「消費税の免税店を始めようとする方へ」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/pdf/20180502_02.pdf

国税庁 輸出物品販売場制度の 免税販売手続電子化に関するQ&A
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/pdf/02.pdf

川崎事務所 小野寺恭子

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