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宿日直料には税金がかからない?

 宿日直料のなかには所得税が非課税となる部分があることはご存知でしょうか。
活用したい一方で、実態をふまえた判断が必要となりますので注意が必要です。
 
・宿日直勤務とは?
 使用者の命令によって一定の場所に拘束され、構内巡視、文書や電話の収受又は非常事態に備えて待機するもの等常態としてほとんど労働する必要のない勤務であり、その時間が夜間か昼間かによって宿直および日直と呼んでいます。
つまり、労働の内容が本来の勤務と比較して著しく軽い勤務となりますので、労働時間や休憩、休日に関する労働基準法が適用されない勤務となっています。(労働基準監督署の許可が必要です)
したがって、宿直勤務の時間中に本来の職務と同様の業務を行っている場合は、宿直ではなく夜勤という解釈になると思います。
 
・宿直料又は日直料は給与等に該当します。
 使用人が正規の勤務時間外において宿直又は日直を行ったことにより支払を受ける金額については、一種の超過勤務に対して支給するものであると考えられるので、原則として、給与等として課税されることになります。
一方で、宿日直勤務を行うためには、食事代などの追加的費用を要することが多いことから、宿日直料として支払われる金額のうち、宿日直勤務1回につき4,000円〔宿直又は日直の勤務を行うことにより支給される食事がある場合には、4,000円からその食事の価額(直接費の額又は購入価額)を控除した残額〕までの部分は所得税を課税しないこととされています。
 
 ただし、次の場合における宿日直に対して支給される金額はすべて給与等として課税されます。
⑴ 休日又は夜間の留守番だけを行うために雇用された人及びその場所に居住し、休日又は夜間の留守番をも含めた勤務を行うものとして雇用された人に当該留守番に相当する勤務について支給される宿直料又は日直料
⑵ 宿直又は日直の勤務をその者の通常の勤務時間内の勤務として行った人及びこれらの勤務をしたことにより代日休暇が与えられる人に支給される宿直料又は日直料
⑶ 宿直又は日直の勤務をする人の通常の給与等の額に比例した金額又は当該給与等の額に比例した金額に近似するように当該給与等の額の階級区分等に応じて定められた金額により支給される宿直料又は日直料(通常の給与水準での超過勤務手当相当となる宿日直料を支給しているときなど)
 
・病院の医師等の宿直料は?
 では、宿直がつきものである病院の医師等の宿直料はどのような判断になるのでしょうか?上記を踏まえて検討すると、夜間に救急患者等を診療するために宿直させた場合は医師本来の職務に対する対価となり、非課税の宿日直に該当しないことになります。厚生労働省の通達でも、宿日直とは診療行為を行わない休日及び夜間勤務について病室の定時巡回、少数の要注意患者の定時検脈など、軽度又は短時間の業務のみが行われている場合と書かれています。
 
 つい、宿日直料は一律に1回4,000円まで非課税だと勘違いしがちですが、勤務内容や雇用条件等で慎重に判断し、過不足ない源泉徴収事務を行いたいですね。
 
参照:
国税庁HP:法第28条《給与所得》関係
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/04/03.htm
 
厚生労働省通達:医師の宿日直勤務と労働基準法
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/s0425-6a.html
 

川崎事務所 山下美穂

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