売上の計上は総額主義で!!
会計の大事な考え方で、総額主義と純額主義というものがあります。
損益計算書原則の「総額主義の原則」とは、
損益計算書に費用及び収益を総額で記載することを要請するものです。
損益計算書において費用と収益を総額で示さず相殺して利益だけを表示すると、利害関係者は、企業が期中に行った取引の規模を把握することができません。そのため費用と収益とは総額で表示することが必要とされます。
たとえば、
100円で仕入れ、150円で売却した場合、仕訳は次のようになります。
仕入100/現金100
現金150/売上150
上記のように経理をすれば、総額主義です。
これを、純額主義で経理をすると以下のようになります。
現金50/利益50
このように、仕入と売上を相殺して仕訳をたてると、仕入はいくらか、売上はいくらかわかりません。
よって、制度会計では総額主義を原則としています。
税金計算上の問題では、法人税の所得計算では税額計算に影響しませんが、消費税では影響することがあります。
簡易課税の場合は純額主義で記帳していると税額が違ってきます。
簡易課税とは、おおまかに言うと売上高のみで消費税額の計算を行う方法です。
例えば小売業なら事業区分は第二種事業で、みなし仕入率は80%となる為、
税込売上高×108分の8×(1-80%)と計算します。
売上高のみで消費税額が決まると言うことは、相殺後の売上高で計上すると、消費税額が過少となることがお分かりでしょうか。
同じ取引なのに、純額主義の売上高(50円)、総額主義の売上高(150円)のそれぞれで納める消費税額が異なってはおかしいですよね?
だから、総額主義(150円)で売上を計上します。
企業会計原則は、費用及び収益を総額で損益計算書に計上しなければならないとしていますが、例外も認められています。それが有価証券の売買取引です。
有価証券の売却損益について総額主義の例外が認められているのは、有価証券の売買取引についてはその取引規模は重要でなく、有価証券の売買という投資活動の結果として、どれだけの利益が計上されたのか、または損失を計上したのかという、投資活動の効率性が利害関係者にとって意味がある会計情報だからです。
同じく例外として、売上値引、売上返品についても売上高の控除項目であるため、売上高から直接控除することが認められています。
経理の際は少々面倒かも知れませんが、消費税は総額主義が原則であるということを頭の中に入れておきましょう。
千葉流山事務所 三木直美