社会福祉法人の財務諸表状況
平成28年3月に社会福祉法が改正され、平成28年度からすべての社会福祉法人は、その年の財務諸表を公開することが義務付けられました。
財務諸表についてごく簡潔に説明しますと、
利害関係者(銀行、取引先など)に対して、一定期間の経営状態や財務状況を提供するために、決められたルールに則って作られるものです。社会福祉法人では、貸借対照表、事業活動計算書、資金収支計算書が該当し、一般的には決算書とも呼ばれています。
財務諸表は統一されたルールで作成されているため、その法人の経営状況だけではなく、他法人との比較も行えるようになっております。そのため、全ての法人が財務諸表を公表することで、厚生労働省が社会福祉法人の経営状況を把握し、3年に1度行われる介護報酬改定のためのデータ資料として活用されることも考えられるかと思います。
一方、財務諸表が公表されて誰でも閲覧できる状態というのは、厚生労働省だけではなく、世間の厳しい視線にさらされる場合があります。
平成30年11月1日、日本経済新聞の紙面において、公表された社会福祉法人の平成28年度決算の状況について以下の記載がありました。
- 公開する義務を持った約2万の社会福祉法人の内、約750の法人が財務諸表を提出していないこと
- 724の法人では、貸借対照表の借方と貸方が一致しない不完全な形であること
- 提出期限から1年以上経ってもこれらが是正されていないこと
このような状況が続いていくようであれば、厚生労働省もしっかりとした開示を行わない法人に対して厳しい姿勢を取ることも考えられますし、法人の重要な情報の一つとして、きちんと開示している施設のほうが、地域住民が利用したいと思うのではないでしょうか。
日々の仕事を精一杯行いつつ、会計業務のことまで完璧に行うのは簡単なことではありません。社会福祉法人で生じた様々な困りごとに対し、お客様のお手伝いができるのも当税理士法人の強みの一つです。今後ますます重要になっていく社会福祉事業の中で、正しい方向へ進んでいくために、コンパッソ税理士法人を羅針盤としてご活用いただければと思います。
<参考>
平成30年11月1日 日本経済新聞介護教室
横浜青葉事務所 伊藤 瞬