ナレッジ

KNOWLEDGE

  1. HOME
  2. Knowledge
  3. 確定申告
  4. 公的年金等を受給されている方の確定申告について

公的年金等を受給されている方の確定申告について

所得税は、個人が得た収入について利益(所得)が生じた場合に、その所得に対して課される税金です。今回は公的年金等について簡単にご説明致します。

公的年金等とは、国民年金、厚生年金、公務員等の共済年金、過去の勤務により会社などから支払われる年金、確定給付企業年金などが該当します。
※なお、生命保険契約や生命共済契約による年金、互助年金などは公的年金等には該当しませんので、ここでは割愛します。

1.はじめに ~「収入」と「所得」の違い~

公的年金等に関するお話の前に、「収入」と「所得」の違いをご説明します。簡単な例として、商売に例えてみましょう。
1,000円で仕入れた商品を1,250円で販売した場合、儲け(利益)は250円です。このときの1,250円は「収入」、そこから得た利益は250円となり、この利益を「所得」といいます。
このように、「収入」と「所得」では意味が異なります。

2.公的年金等における「収入」と「所得」について

(1)収入
個人の通帳に振り込まれる収入公的年金等の金額は、(もらう年金の額などにもよりますが)所得税や後期高齢者医療保険料などが差し引かれた後の、いわゆる「手取り額」となります。
公的年金等における「収入」とは、これらが差し引かれる前の、いわゆる収入金額をいいます。
(2)所得
上記の例のような商品販売であれば、収入1,250円を得るためには1,000円の仕入れ経費が必要でした。しかし公的年金等の場合は、年金をもらう際に支払う経費がありません(自分が収めた国民年金保険料や厚生年金保険料等は、そのときに高齢者世代が受け取る年金に充てられています。よって自分が収めた保険料は、将来自分がもらう年金のために支払っているものとはなりません)。
経費が無いとなりますと、年金収入の全部に対して税金がかかるということになってしまい、税負担が多くなります。
そこで税金の計算をする際には、年金の額に応じて「一定の経費」を引き算することになっています。これを「公的年金等控除額」といいます。よって公的年金等についての所得は、
【所得 = 公的年金等の収入金額 – 公的年金等控除額】
となります。なお、年金に係る所得を「雑所得」といいます。

3.公的年金等控除額の求め方

公的年金等控除額は、(1)1年間に受け取った年金収入、及び(2)公的年金等以外の所得の合計額に応じて算出方法が異なります。
また公的年金等控除額を算出する際は、年齢が65歳以上の方と65歳未満の方で算出方法が異なっています。

【令和5年分の確定申告】
65歳以上の方:昭和34年1月1日以前に生まれた方
64歳未満の方:昭和34年1月2日以後に生まれた方

4.公的年金等は、いくらまでなら所得税がかからないか

1年間の公的年金等の収入が以下の金額であれば、公的年金等に対しては所得税がかか
りませんので、一つの目安にして下さい。(前提条件:公的年金等以外の所得金額の合計額が1,000万円以下)
(1)65歳以上の方
公的年金等の収入が110万円以下
(2)64歳未満の方について
公的年金等の収入が60万円以下
※(1)(2)ともに、前提条件に該当しない場合には金額が異なってきますのでご注意下さい。
※公的年金等に係る所得金額の速算表が国税庁ホームページに掲載されておりますので、詳しくはそちらもご覧下さい。
no.1600 公的年金等の課税関係|国税庁 (nta.go.jp)

5.公的年金等の申告不要制度について

上記による計算の結果、公的年金等に係る雑所得が生じる方であっても、
・その年中の公的年金等の収入額が400万円以下であり、
・かつ、その公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合
には、確定申告をしなくてもよいことになっています。
(注意点)
・この場合であっても、医療費控除や社会保険料控除などを使って所得税の還付を受けるために確定申告をすることは可能です。
・所得税の確定申告が不要であっても、市町村への住民税申告は必要な場合があります。

以上、公的年金等に関する確定申告についてご説明致しました。とは申しましても「何だか難しい」「結局、確定申告はした方がいいの?」などご不明点がございましたら、コンパッソ税理士法人までお気軽にご相談下さい。

(参考文献)
国税庁ホームページ no.1600 公的年金等の課税関係|国税庁 (nta.go.jp)

関連記事