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3歳未満の子がいる方の厚生年金の特例について

会社員(厚生年金の加入者)の女性が出産し、産休・育児休業を取り、職場復帰をする際には、一般的には時短勤務で戻ることが多いようです。
時短勤務になると、それに応じて給与額も下がることが多いです。

厚生年金というのは、給与額に応じて保険料が算定され、その保険料に応じて将来もらえる年金額が決まります。
簡単にいうと、給与が高い人ほど保険料は高くなりますが、将来もらえる年金額もその分増えます。一方、給与が低い人ほど保険料は少なくて済みますが、将来もらえる年金額も少ないのです。

さて、上記のように時短勤務で職場復帰をして給与額が下がりますと、それに応じて保険料も下がります。ということは、つまり将来もらえる年金額も下がるということです。

しかし、この少子化の時代、子供は国家にとっても宝です。子を産んだことで年金が不利にならないように、政府はこのようなケースでも年金額が下がらないような制度を設けています。

「厚生年金の養育特例」と呼ばれるもので、3歳未満の子を養育する厚生年金加入者は、その養育期間中に給与が下がっても、従前の給与額で年金額を計算してくれます。

例えば、もともと給与30万円だった人が、産休等を取得後に時短勤務で職場復帰したとき給与が20万円になった場合、給与が下がったので保険料は下がります。
本来、保険料が下がれば将来もらえる年金額も下がるのですが、この「厚生年金の養育特例」の制度を利用すれば、年金額は下がらず、従前の給与(30万円)もらっている人と同じように年金額を計算してくれるのです。
つまり、保険料は下がるけど年金額は下がらない、というお得な制度なのです。

しかし、これには注意点があります。
この「厚生年金の養育特例」制度を利用するには原則として本人の申し出が必要であるということです。
勝手に特例制度が適用されるわけではなく、本人が申し出ないと適用されません。通常、会社を通して年金事務所に届出します。
一般的に広く知られている制度ではありませんので、そもそもこういった制度があること自体知らない人も多いと思いますし、会社の人事担当者も忘れてしまいがちです。

利用して損はない制度ですので、3歳未満のお子さんがいる方は是非活用してください。

なお、この特例は男性でも利用できます。また、給与が下がる理由は問いません。
例えば、3才未満の子を養育する(同居していればOK)男性会社員が、たまたま降格等で給与が下がってしまった場合であっても、保険料だけ下がって、年金額は下がりません。

コンパッソ社会保険労務士法人 横尾健司

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