リベラルアーツとは
リベラルアーツという言葉が昨今の大学教育の中でよく聞かれるようになり、最近はリベラルアーツを看板に掲げる大学が増えています。
【リベラルアーツとは】
古代ギリシャに起源を持ち、自由7科(文法、修辞、論理、算術、幾何、天文、音楽)を基本とする「人を自由にする学問」を意味しています。
日本では「教養」と訳されていることが多く、日本の大学においては、専門教育の準備段階としての一般教養科目のイメージが強いのですが、それとは区別するため、特定の学問に偏らず、人文科学、社会科学、自然科学、芸術などを横断的に学べることを特徴としています。
【現代に必須の知識】
従来の大学教育では、社会に出て「役に立つ人材」教育が主流で、専門教育を行い、その専門のスペシャリストを育てる傾向にありました。しかし、そうなると自分の専門のことには詳しいけれど、それ以外のことはあまり知らないという人たちが多く世の中に生み出されてしまいます。このように、一つのことしか知らない人が増えると、社会のいろいろな問題に対処できなくなってしまいます。グローバル化、高齢化などに対応するため、幅広い教養を持っている人が必要とされている現代は、リベラルアーツを学んだ人が活躍出来る社会です。
【社会人こそ求められる発送】
一方、すでに社会に出ているキャリアに目を向けますと、終身雇用制が揺らぎ、若い従業員の意識も大きく変わり、入社後3年目での離職率は約30%にものぼっている状況です。また、AIの登場により、将来において「人はなぜ働くのか」といったことについても考えを及ぼす必要がでてくるでしょう。そういった社会で求められることは自由な発想、多様性への理解であり、既成概念に束縛された考えから自由になる必要があります。
【社会人がリベラルアーツを習得するには】
では、社会人がリベラルアーツ的発想を身につけるにはどうすればよいのでしょうか。
留学や国内大学へ入り直さなければならないのでしょうか。
その必要はなく、
・日常生活から物事の成り立ちや背景に思いを馳せること
・好奇心を持って仕事に取り組むこと
・少しでも業務を改善、効率化させること
を意識することが、リベラルアーツ的な思考法を手に入れる第一歩となると考えられています。
近い将来、リベラルアーツを学んだ学生が社会人となり、ともに社会で活動を始めます。
先に社会人となった私たちは、専門分野の知識だけではシステムに組み込まれ、AIに代替されてしまいます。しかし、自分の頭で考え、自分の人生を自分で切り開き、新しい価値を創造する力を持って活動することができたら、AIが台頭しても必要とされるのではないでしょうか。ここでリベラルアーツが必要となるのです。これからの社会に必要となる人材は、日常生活においてリベラルアーツを学び、身につけていくことが鍵となるでしょう。
リベラルアーツ、学んでみませんか。
出典
夢ナビ
朝日新聞掲載「キーワード」
川崎事務所 大島裕美