新しい特別養子制度
養子制度には、普通養子制度と特別養子制度の2つがあります。普通養子制度とは、子が実の親との関係を存続させながら養父母と新たに親子関係を作るものをいいます。
一方で特別養子制度は、実の親との関係を終了させた上で養父母と新たに実の親子同様の関係を作るものをいいます。
普通養子制度は、養子になる人に年齢制限はなく手続きも原則市区町村の窓口に届け出るだけいいので簡単です。いわゆる婿養子や、相続税対策を考えて孫を養子にするケースは、この普通養子制度になります。
<特別養子制度とは>
では、特別養子制度とは、どのようなものなのでしょう。
貧困や虐待などの理由から、親元で暮らすことができない子供が全国に約4万5千人いると言われています。このように親元で養育されていない場合や、親が育てることができない親戚の子を引き取るような場合など、子供たちが、温かい家庭で健全に成長できるようにするための手段の一つが特別養子制度です。
特別養子制度は、家庭環境に恵まれない子供の健全な養育を図ることを目的として作られた制度なので、養子になる人に年齢制限があり、家庭裁判所での審判が必要となります。
この制度の利用をしやすくするために、今回の改正で成立要件を緩和しました。
ポイントは2つあります。
1 年齢上限の引き上げ
従来は年齢の上限を原則6歳未満でしたが、原則15歳未満に引き上げました。
2 手続きの合理化
児童相談所長に裁判手続きへの関与を認め、養父母が安心して裁判手続きを進められるようになりました。また、実親の養育が困難である確認や同意の有無、養親と養子の間で親子関係がうまく作れるか確認することにより、養父母の心理的負担を軽減しました。
養子縁組というと、家業や財産、お墓等を維持するための後継ぎが欲しいという方の利用が多いかもしれません。家庭で親の養育を受けられず養子縁組を必要としている子供たちがいることを忘れないでいてもらいたいものです。
出典元
政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/index.html
法務省HP
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00248.html
川崎事務所 長谷川誠