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目標達成のための組織づくり「チームビルディング」についてご紹介

子どものころ、仲間とチームを組んでゲームをしたりスポーツなどに熱中したりした経験が、誰しもあるのではないでしょうか。

誰に教えてもらったわけでもないのに、子どもながらに「リーダー」としてチームをまとめる人、他の子どもに声をかけ、またたく間に人を集める能力に長けた人など「チームには役割分担がある」ということを学んだ人もいると思います。そしてチーム内で作戦を練り、必死になって勝ち取った勝利をみんなで分かち合った経験は、幸せで満ち足りた思い出ではないでしょうか。

わたしたちはそのころとくらべ、すっかり大人になりましたが、ビジネスシーンにおいても、チームを作り目標を達成するまでのプロセスは「チームビルディング」と呼ばれ、各企業が取り組み、活用しています。

今回はチームビルディングについて、その目的や効果、事例などをご紹介します。

チームビルディングとは

チームビルディングとは、ある目標達成に向け、チームにおける各個人がそのスキルや能力・経験を最大限に発揮し、チームとしてのパフォーマンス向上を図るための取り組みを指します。

心理学者のタックマンは、チームビルディングを効果的に行うために、「タックマンモデル」を提唱しました。タックマンモデルでは、チームの現状や今後のプロセスを5段階に分けることで、どのようなチームビルディングが期待されるかを明確にすることができます。

5つのプロセスは以下の通りです。

①形成期
形成期はタックマンモデルの最初の段階です。

チームメンバーがお互いのことを知る時期で、まだ緊張感が漂っています。次の段階に進むために、メンバー同士でコミュニケーションを取る必要があります。

②混乱期
混乱期はチームメンバー同士の意見が対立する時期です。

メンバー同士の対立は避けたいところですが、次の段階に進むために議論を積極的に行い、お互いに理解を深めるための大事な段階です。

③統一期
統一期はメンバーが意見を出し切ったことで、お互いの価値観や思考を理解し認めます。

この時期になるとチームとして統一され、共通した1つの目標に向かって、それぞれが主体的に動き出します。

④機能期
機能期は、リーダーの指示がなくても、チームメンバー1人1人が主体性を持って行動を起こすようになり、チームとして機能している段階です。

機能期を持続するために、アクティビティを実施するとチームワークを深めることができます。

⑤散会期
散会期はプロジェクトの終了やメンバーの異動に伴い活動が終了する段階です。

チームビルディングの成功は、散会期のチームやメンバーの状態で判断することができます。

チームビルディングは、机上の知識ではなく、実践することで理解や経験を深められるので、研修やワークショップ、アクティビティやゲームを通して体感する方法を用いる企業も多くあります。

チームビルディングの目的

チームビルディングの目的は、1人では達成できないような大きな目標であっても、チームで協力し合い、成功へと導くスキルを各々が身につけることにあります。

1人1人が持つスキルが相互に作用し合うことで、チーム全体のパフォーマンスが向上します。またメンバーが個々の人間性を認めると、メンバーの関係は強固なものとなり、活性化されたコミュニケーションの元で業務を効率的に行うことができます。

チームビルディングの効果

チームビルディングは、組織においてどんな効果をもたらすのでしょうか。以下に挙げていきます。

・目標を明確にすることで、モチベーションやパフォーマンスが向上する
・メンバーが信頼し合い一体感が生まれると、より創造力のあるコミュニケーションが増す
・1人1人の能力を明確にし役割を適切に配置することで生産性を向上させる
・一見困難と思われる目標でも、チームで協力することで達成可能になる
・チームの持つ力が組織全体にも良い影響力を与える

チームビルディング研修例

実際にチームビルディング研修の事例をいくつかご紹介いたします。

オンラインでできるチームビルディング研修「リモ謎」

社内レクリエーションや研修、イベントを手がける株式会社IKUSAが、リモートワークでも行えるチームビルディング研修としてリリースしたのが「リモ謎」です。

ビデオチャットを使い、5~6名で編成したチームで謎をときながら脱出するゲームです。こまめなコミュニケーションや情報共有を必要とし、個々の特性や能力を知ることができます。0~100人の同時参加が可能であり、利用者の目的に合わせて難易度や内容をカスタマイズすることもできます。

他にも株式会社IKUSAは、社名にもつながる「チャンバラ合戦IKUSA」というアクティビティもリリースしています。

チャンバラ合戦IKUSAは片腕にスポンジ製の刀を持ち、もう片方の腕にカラーボールをくっつけます。そしてチームを組んで、相手チームのメンバーの腕についたボールを落としていくというゲームです。IKUSAではゲーム前に「軍議」と称した作戦会議を行い、メンバー同士が意見を出し合い戦略を練っていきます。ファシリテーターの役を担う「軍師」が軍議を進行します。

メンバーで盛んにコミュニケーションを取りつつ、勝利という目標に向かうことで一体感が生まれます。また1人1人が責任感を持ち、能動的に取り組むので、チームビルディングを行う上で最適かつ代表的なアクティビティです。

年齢体型問わずできるスポーツ「ゲートボール」

スポーツはチームビルディングに適しており、体を動かすことでリフレッシュし、脳も活性化されます。そこで、チームビルディングに取り入れやすいスポーツとして「ゲートボール」が注目されています。

お年寄りが行うスポーツと思われがちですが、実は頭脳戦を強いられる場面も多いのが特徴です。自分のボールをゲートにくぐらせて点数を稼ぐだけではなく、敵のボールをはじき出したり、同じチームのボールを有利な位置に移動させたりと、チーム内での戦略を必要とするゲームです。

昨今の社会情勢を踏まえ、スポーツイベントやレクリエーションが開催しにくい状況ですが、ゲートボールは屋外の広大なスペースがなくてもプレイ可能なスポーツです。また、室内用のゲートボールセットも販売されているので、社内の会議室などを利用することもできます。大きな声を出すこともなく、年齢や体型問わずできるスポーツです。

チームビルディングを学べる本

「宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話」
コミックスでおなじみのキャラクターや名シーンを用いながら、チームビルディングが学べる本です。

チームのリーダーを4つのキャラクターに分類し、チームが形成されていく上で起こり得る状況に対するリーダーとしての行動やヒントが書かれています。「耳が痛い」「自らを省みた」というレビューが多く「求められていないのにアドバイスしない」というフレーズには、ハッとさせられた人も多いのではと思わせる本です。

チームリーダーはもちろん、新入社員や次世代リーダーの主体性を育むこともできる1冊です。

「Good Team 成果を出し続けるチームの創り方」
日本チームビルディング協会代表理事の齋藤秀樹氏によって書かれた1冊です。

著内では、まずチームにおける問題を明確にするところから始まります。ここでは、仕事に対して「自分のやり方(Do)」ばかりを追い求めていたという問題点に気づきます。

そしてチームビルディングの定義を説明したのちに、成長プロセスを4段階に分けステップアップします。チームビルディングを作り上げ、さらに強化し発展させていくという課程では、「自分はどうなりたいか(Be)」を1人1人が考えることが重要であることに気づきます。

このように段階を踏んだわかりやすい説明で、良いチームへの導き方を学ぶことができるので、組織のリーダーだけでなく、新入社員、また教育関係者が読んでも納得のいく本です。

まとめ

近年の働き方改革に加え、新型コロナウイルスによる影響で、人々の働き方は大きく変化しました。リモートワークが多く導入され自らの業務を1人黙々とこなすうち、いつしか「チームの一員である」という意識が薄くなる傾向にあります。

チームビルディングに取り組むと、人と人とのコミュニケーションが活性化され、社員の仕事に対するモチベーションの向上が期待できるという大きなメリットがあります。

今は多くの人と集い研修を行うことも、チームビルディングを実践することも難しい情勢です。しかし限られた環境の中でどのようなチームビルディングの実現が可能なのか、そのことについてチームで知恵を出しあう、その状況はすでに理想的なチームビルディングのひとつのカタチといえるのではないでしょうか。

(画像は写真ACより)

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