会社と社員がWin-Winへ。副業解禁のメリットとデメリットとは
厚生労働省も副業を促進
自己実現やスキルアップ、収入の確保などのため、兼業・副業を希望する労働者は年々増加傾向にあります。しかし、兼業・副業を容認している企業は依然として少なく、希望する働き方ができていない労働者が多いのが現状です。
2017年2月14日に株式会社リクルートキャリアが公開した「兼業・副業に対する企業の意識調査」によると、兼業・副業を禁止している企業は全体の77.2%で、容認・推進している企業の22.9%を大きく上回りました。
厚生労働省では、2017年3月28日に決定した「働き方改革実行計画」を踏まえ、兼業・副業を促進しています。2018年1月には、モデル就業規則を改定し、柔軟な働き方を広める後押しをしています。
社会が兼業・副業を促進する流れであるのに対し、なぜ依然として禁止している企業が多いのでしょうか。副業解任は企業にとってリスクでしかないのでしょうか。今回は、副業解禁のデメリット、メリットについて考えていきます。
企業にとっての副業解禁のデメリット
本業の他に仕事をすることを認めることによって、労働者1人あたりの労働時間はどうしても長くなりがちです。副業解禁によって、社員が働きすぎてしまい、本業に支障を及ぼしてしまうことは企業にとって大きな懸念材料となります。
また、情報漏洩のリスクが高まることも多くの企業が心配しています。社内で蓄積した情報やノウハウは企業にとって大切な財産です。長い時間をかけて蓄積してきたものが、外部に流出するリスクが高まることは、企業にとってのデメリットの1つとして考えられます。
その他には、副業を認めることで会社が業績不安だと思われる、残業できる社員が減ることで人手不足につながる、競業となるリスクがあるなどのデメリットが考えられます。
企業にとっての副業解禁のメリット
副業解禁は、会社にとってデメリットばかりではありません。
社内では得られなかった知識やノウハウ、スキルを獲得しやすくなり、業務の改善や事業拡大につながることが期待されます。社員の人脈が広がり、新たなビジネスをスタートさせるきっかけになることもあるでしょう。
労働者の主体性が育ちやすいのも企業にとっては大きなメリットです。自分の頭で考えて、能動的に動ける社員が増えることで、会社の競争力が高まることが期待されます。
その他には、優秀な人材を獲得しやすくなる、社員の質が高まる、社員の定着率が向上するなどもメリットとして考えられます。
副業を解禁するにあたって気を付けたいこと
裁判例から見ると、副業を一律禁止することは法律違反となる可能性があります。社会も副業を促進する流れになっていることから、解禁する方向で準備を進めておくことが推奨されます。
副業を解禁するにあたっては、労働者と企業が十分にコミュニケーションをとって、お互いが納得できるルールをつくることが大切です。長時間労働や情報漏洩が心配される場合、副業の内容などを労働者に申請させるようにしてもよいでしょう。
厚生労働省は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をホームページ上で公開しています。副業・兼業について規定したモデル就業規則も含まれているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
情報漏洩や社員の長時間労働などが懸念されることから、副業解禁に踏み切れない企業が多いのが現状です。しかし、副業は企業にとってデメリットばかりではありません。
新しい知識やノウハウが得られたり、社員のモチベーションが向上したりすることは企業にとって大きなメリットになります。事業拡大や業績改善につなげるきっかけとなることもあるでしょう。
副業を解禁するにあたっては、企業と労働者がWin-Winとなるルールづくりが必要不可欠です。ぜひ、今から準備を進めてみてはいかがでしょうか。
(画像はphoto ACより)