企業の働きやすさを測る指標「離職率」の計算方法を正しく知ろう!
離職率を知ると、職場の働きやすさが分かる
日本企業は長期雇用を特徴としており、各企業の離職率は企業の働きやすさを測る指標として注目されています。離職率が低いことは、従業員の長期雇用を守ろうとしている企業であることや、働きやすい職場づくりに努めていることの証となります。
あなたは自社の離職率を知っていますか。正しい計算方法を知って、優良な人材確保や、職場環境のチェックなどに役立てていきましょう。
離職率とは
厚生労働省は、離職率について「常用労働者数に対する離職者数の割合」と定義しています(参考:平成30年雇用動向調査結果の概況)。つまり、調査対象期間中にどれくらいの割合で従業員が離職しているかを表した指標であり、日本では、働きやすさを測る重要な指標と考えられています。
なお、離職者は自ら退職した人だけでなく、解雇された人も含みます。他企業への出向者や出向復帰者、同一企業内の他事業所への転出者は除外されるので注意が必要です。
離職率の正しい計算方法とは
厚生労働省は離職率の計算式を「離職率=離職者数/1月1日現在の常用労働者数×100(%)」と定めています。年齢階級別の離職率は6月末日現在の労働者数で計算し、1年ごとに調査、公表しています。例えば、1月1日現在の常用労働者数が100人で離職者数が1人の場合の離職率は1%となります。
厚生労働省は調査対象期間を上記の通りに規定していますが、
数年後、6ヶ月後など、独自に期間を定め、計算することもあるようです。
令和元年8月21日に発表された「平成30年雇用動向調査結果の概況 図1-1 入職率・離職率の推移」によると、平成17年の離職率は17.5%、平成28年が15.0%、平成29年が14.9%、平成30年が14.6%で、近年離職率は減少傾向にあります。
離職の傾向と原因をチェック
従業員は企業にとって貴重な財産なので、企業から見ても人材の流出は防ぎたいものです。なぜ、労働者は離職を選択するのでしょうか。ここからは、「平成30年雇用動向調査結果の概況」を元に、近年の離職の傾向と離職率が高くなる理由を見ていきます。
離職率を産業別に見ると、宿泊業、飲食サービス業(26.9%)、生活関連サービス業、娯楽業(23.9%)などが高く、建設業(9.2%)、複合サービス事業(9.3%)、製造業(9.4%)、学術研究、専門・技術サービス業(10.1%)などが低くなっています。
なお、入職率は離職率と比例する傾向にあり、宿泊業、飲食サービス業は29.3%、生活関連サービス業、娯楽業は28.1%と高く、建設業が10.0%、複合サービス事業が10.0%、製造業が9.3%、学術研究、専門・技術サービス業は11.1%となっています。
年齢別では、男女ともに29歳以下と60歳以上の離職率が高い傾向にあります。
転職入職者が前職を辞めた理由は、定年・契約期間の満了を除くと、男性は「給料等収入が少なかった(10.2%)」が最も多く、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった(10.0%)」、「職場の人間関係が好ましくなかった(7.7%)」「会社の将来が不安だった(7.6%)」が続きます。
女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった(13.4%)」、
「職場の人間関係が好ましくなかった(11.8%)」、「給料等収入が少なかった(8.8%)」、「仕事の内容に興味を持てなかった(5.5%)」が多くなっています。
まとめ
企業の働きやすさを測る指標である離職率の計算式は、「離職者数/1月1日現在の常用労働者数×100(%)」と厚生労働省が定めています。正しい計算方法を知っておくことで自社の離職率を把握することができ、採用や職場環境の改善に活かすことができるでしょう。
近年、待遇面だけでなく、職場環境を理由に転職をする人が増えています。離職率を下げることで、従業員のモチベーションの低下を防ぐことも可能です。給料や労働条件だけを重視するのではなく、職場環境の改善にも力を入れていくことが推奨されます。
(画像はphoto ACより)