新型コロナウィルスに関連する医療費控除について
令和3年になっても新型コロナウィルスの感染者数は増加の一途を辿っており、1月8日には1都3県、1月14日にも2府5県に対し緊急事態宣言が再発令されました。不要不急の外出自粛やマスクの着用、会食の制限等、これまでより一層の感染予防が求められています。
このような状況で今年も確定申告の申告時期がやってきました。今回のナレッジでは新型コロナウィルス感染症に関連する医療費の支出に対する医療費控除の適用について紹介をしたいと思います。
医療費控除について概要を説明しておきます。
医療費控除とは1月1日から12月31日に支払った自己または自己と生計を一にする配偶者やその他親族のために医療費を支払った場合、支払った医療費が一定額を超えるときに所得控除を受けることができる制度です。
医療費控除の金額は下記の計算によります。
・実際に支払った医療費の金額-保険金等で補填される金額-10万円(注)
・医療費控除の上限額は200万円です。
(注)総所得が200万円未満の方は、総所得金額の5%
※医療費控除を適用するには、医療費の領収証が必要となります。その領収証の内容をもとに医療費控除の明細書を作成して確定申告書に添付します。
また国民健康保険団体連合会などの医療保険者から医療費通知が交付された場合には、医療費の領収証に代わって医療費通知を確定申告書に添付することより医療費控除の適用が可能です。
新型コロナウィルス感染症に関連する医療費控除の適用については以下のとおりです。
・新型コロナウィルス感染症を予防するためのマスク購入費用
医療費控除の対象となる費用は、診療や治療に支払った費用または治療や療養に必要な医薬品の購入費用となっているため、感染症の予防を目的とするマスクの購入費用は医療費控除の対象となりません。
・PCR検査費用
新型コロナウィルス感染症に感染している疑いのある方に対して実施されるPCR検査など、医師等の判断により受けたPCR検査費用は、医療費控除の対象となります。医療費控除の対象となる金額は、自己負担の金額に限られますので、公費負担部分の金額は医療費控除の対象となりません。
自分が感染していないか確認をする目的など、自己の判断でPCR検査などを受けた費用については医療費控除の対象にはなりません。ただし、そのPCR検査の結果、陽性であることが判明して引き続き治療を行った場合、その検査は治療に先だって行われる診察と同様に考えられますので、その検査費用については医療費控除の対象となります。
・オンライン診療に係る費用
オンライン診療料のうち、医師等による診療や治療のために支払った費用は、医療費控除の対象となります。
医師等による診療や治療を受けるために支払ったオンラインシステム利用料は、オンライン診療に直接必要な費用となるので、医療費控除の対象となります。
オンライン診療によって処方された医薬品の購入費用は、治療や療養に必要な医薬品の購入費用に該当する場合には、医療費控除の対象となります。
医薬品の配送料は、治療または療養に必要な医薬品の購入費用に該当しないため、医療費控除の対象とはなりません。
今後も新型コロナウィルス感染症の状況によっては確定申告の取扱い等が変更される可能性がありますので、詳細な情報等をお知りになりたい方はコンパッソ税理士法人へ御連絡ください。
千葉流山事務所 佐藤智成