態度の悪い試用期間中の社員は解雇可能?
試用期間中にもかかわらず態度が悪い新卒社員に悩まされてはいませんか。本来試用期間とは、企業と社員のミスマッチを防ぎ、本採用後きちんと仕事をしてくれるかどうかを確かめるための期間です。
試用期間中に真面目に勤務できない社員は、本採用になってからも勤務態度の改善が望めなかったり、場合によってはさらに勤務態度が悪くなったりする可能性があります。そのため、そのような社員は可能であれば本採用する前に解雇したいと考えている人も多いのではないでしょうか
今回は、試用期間中に態度が悪い社員を解雇することはできるのか、どのような手続きをすればよいのかについて解説します。
試用期間とは?
試用期間とは、採用した社員の適性を確かめ、正式な採用をするかどうかを決めるための期間です。
試用期間の有無や期間中の労働条件を、求人票に明記することは義務付けられていますが、試用期間について明確に定める法律はありません。そのため試用期間の有無や試用期間の長さは、企業によって異なります。
労働に関する研究を行っている「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」が2012年に実施した「従業員の採用と退職に関する実態調査」では、86.9%の会社が試用期間を設けており、その内の69.1%は期間の長さが3ヶ月であることが明らかになっています。
試用期間中の解雇は可能?
試用期間中の解雇は可能なのでしょうか。結論から言うと、就業規則に試用期間中の解雇についての記載があれば可能です。試用期間は、使用者に労働契約を解約する権利が認められている、「解雇権留保付雇用契約」にあたるからです。
この契約は、会社が社員を解雇する権利が留保された雇用契約であるため、通常の雇用契約よりも解雇が認められやすくなっています。もっとも、解雇は客観的に見て合理的な理由があり、妥当だと認められるものでなくてはなりません。具体例としては、横柄な勤務態度や度重なる無断欠勤、履歴書に虚偽が見つかった場合などがあげられます。
試用期間が終わると、会社内での犯罪行為や苛烈なハラスメント行為など重大な理由が無い限り、社員を解雇することは難しくなります。そのため、試用期間中の社員の解雇を考えているのであれば、期間内に解雇することが重要となります。
試用期間中の解雇方法
試用期間中の解雇手続き方法は、試用期間開始から14日以内と以降で異なります。
試用期間開始から14日以内の解雇
試用期間開始から14日以内の場合は、解雇通告なしで解雇することが認められます。労働基準法第21条で、試用期間開始から14日以内の社員は、解雇通告が必要ないことが定められているからです。
解雇通告とは、解雇予定日の1ヶ月前までに解雇する旨を社員に伝えることです。解雇通告から解雇予定日まで1ヶ月よりも短い場合は、30日分の賃金を支払う必要があります。
試用期間開始から14日以降の解雇
試用期間開始から14日以上経ってから解雇する場合は、本採用されている社員と同じように、解雇通告を行ってから解雇しなくてはなりません。ただし地震や津波など、災害が原因で会社の経営ができなくなった場合や、明らかに社員に過失がある場合は、この限りではありません。
解雇通告を行う際は、社員とのトラブルを防ぐために、口頭ではなく、証拠が残る書面で行うことをおすすめします。
まとめ
勤務態度の悪い試用期間中の社員は、本採用してからも、勤務態度が改善しなかったり、さらに態度が悪くなったりする可能性があります。そのため、あまりにも勤務態度が悪く、改善の余地が見られない場合は、試用期間中に解雇することも考慮に入れましょう。
当記事では、試用期間中の社員を解雇できるかどうかや、解雇する方法についてご紹介しました。
試用期間中から2週間以内であれば、解雇通告なしでも解雇できますが、それ以降は解雇通告を行う必要があります。解雇通告を行う場合は、社員とトラブルになる可能性があるので、口頭ではなく、しっかりと書面での通告を心がけましょう。また、試用期間が終わると、社員の解雇が難しくなるため、解雇を行う際は期間内に行うことが重要となります。
(画像はいらすとやより)