テレワーク手当と給与課税
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、従業員へのテレワーク(在宅勤務)を推奨・実施する企業が増加しています。
テレワークの実施により、従業員負担となる自宅のインターネットの通信費や電気代などを補助するため、「テレワーク手当」を支給する企業も出てきています。
業務に必要な費用の補助とはいえ、一律で支給するテレワーク手当は、基本的に、給与課税の対象となり、企業側は源泉徴収を行うことが必要となります。
企業が従業員に支給する金品は、給与や賞与などの名目でなくても、給与課税の対象となることが原則です(所法28①等)。ただし、出張旅費などは、業務遂行上必要なものであり、本来は会社が負担すべき費用の実費弁済であることから、通常必要とされる範囲内で課税されないことになっています(所法9①四、所基通9-3等)。
テレワーク手当の課税判定に係わる通達はないものの、たとえば、企業が従業員に支払う交際費等の取扱いは参考となるでしょう。この取扱いでは、企業が従業員らに支払う交際費等は原則課税対象としつつも、従業員らの「業務のために使用すべきものとして支給されるもので、そのために使用したことの事績の明らかなものについては、課税しない」とされています(所基通28-4)。
この取扱い等を踏まえると、一律で支給するテレワーク手当は、従業員側に具体的な業務使用分の明示を求めないことが一般的であるため賞与(課税対象)に該当します。
一方で、従業員側が業務使用分に係わるインターネット回線の通信費や光熱費などを明細書等で明らかにし、実費精算するような場合には、給与課税の対象外となります。
なお、小中高等学校の休校に伴い、小中校生を扶養する従業員に、一律で「休校手当」を支給する企業もありますが、こうした手当も賞与に該当することになります。
以上、ご参考にしてください。
(出典:税務通信)
千葉旭事務所
渡邉 武男