たまたま土地の譲渡があった場合の消費税計算
昨今新型コロナウィルスの影響により、経営環境が目まぐるしく変化している現況です。
経営者の皆様の中には、資金繰りの観点や不動産市況の状況から、保有している不動産(主に土地)を売り出すケースがあると存じます。タイトルにもありますように、土地を売り出した時の消費税計算について注意が必要です。
消費税の計算では、「預かった消費税額」から「支払った消費税額」を差し引いた金額を国へ納付します。「支払った消費税額」の計算においては、「課税売上割合」という割合を使用します。この割合が高い程、納める税金が少なくなりますが、たまたま土地を譲渡した場合には、この割合が低くなる傾向にあります。つまり、今まで国へ納めていた消費税額より、納める金額がより大きくなる可能性があります。
そこで、消費税法では、このような状況を避けられるよう「課税売上割合」に代えて「課税売上割合に準ずる割合」を用いて税額計算を行うことができます。
「課税売上割合に準ずる割合」には、具体的に、使用人の数又は従事日数の割合、消費又は使用する資産の価額、使用数量、使用面積の割合といった合理的根拠のあるものを使用して、割合を算定します。
さらに、所轄税務署に「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出し、承認通知を受けた場合にのみこの計算方法が可能となります。
<上記申請書の提出時期>
承認を受けようとするとき(承認を受けた日の属する課税期間から適用できます。なお、課税売上割合に準ずる割合の適用を受けようとする課税期間の末日までに承認申請書を提出し、同日の翌日から同日以後1月を経過する日までの間に承認を受けた場合は、当該課税期間の末日においてその承認があったものとみなされます。)
例えば、事業年度末日(課税期間末日)がX年3月31日とすると、承認申請書をX年3月31日までに提出し、X+1年4月30日までに承認を受けた場合には、X年における消費税の計算では上記割合を用いて計算できます。
本制度は、上記申請書の提出と承認のタイミングが肝となります。
令和3年4月の税制改正により承認時期が見直されました。
土地をお売りになられる際に、この制度を適用するケースでは、早い時期での提出がお勧めです。
出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6417.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/23120031.htm
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/r03kaisei.pdf
(消法30、消令47、消基通11-5-7、11-5-8)
渋谷事務所:斎藤将光
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