印紙税が課税となる文書の記載金額の算定
印紙税とは
印紙税法により定められた次の3つすべてに当てはまる文書について課税されることとなっています。
(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。
つまり、印紙税が課税されるかどうかは、文書の記載内容や記載金額に基づいて決まりますので、文書の記載内容から、1~20号までの20種類の中のどの種類の文書に該当するのかの判断は勿論のこと、その文書の記載金額の算定も非常に重要になります。
今回はその記載金額の算定についてご紹介致します。
ケース①
一つの文書内に同じ号の内容の金額が2つ以上あるとき
一つの文書に2つ以上契約金額が記載されている場合は、それらの金額を合計したものがこの文書の記載金額となります。
例)契約書に「A株券1,000万円、B株券500万円」と記載
→1,000万円+500万円=1,500万円なので 記載金額1,500万円の第4号文書(株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券)となります。
ケース②
一つの文書に2つ以上の号の内容の金額が複数あるとき
一つの文書に2つ以上の号があり、金額が複数あるときは、金額を号で区分して記載する場合と、区分しない場合で算定方法が異なります。
例1) 不動産と株券の譲渡契約書に「不動産1,000万円、株券500万円」と記載
→2つ以上の号があるときには、通則3の原則に基づいて選択した、一つの号に属する文書になります。
通則3の原則は次の通りです。
① 該当する号のうち税率の最も高い文書に所属させる。
② 税率が同じ場合は先に掲げられている号の文書に所属させる。
③ 証書と通帳の双方に該当する場合には通帳の号の文書に所属させる。
この例の場合には①の文言に基づき、記載金額1,000万円の第1号1文書(不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書)となります。
例2) 不動産と株券の譲渡契約書に「不動産と株券合計1,500万円」と記載
→この場合は記載金額1,500万円の第1号の1文書となります。
ケース③
記載金額の特例
第1号又は第2号文書(請負に関する契約書)に限り、その文書の中に具体的な契約金額が記載されていない場合であっても、単価、数量、記号、その他の記載のある見積書、注文書その他これらに類する文書の名称等により当事者間で契約金額を明らかにすることができる場合は、その金額がその文書の記載金額となります。
例)注文書に「工事代金の契約金額は別紙1のとおりとする」と記載。別紙には契約金額500万円と記載がある。
→この場合は別紙の文言に基づき、当事者間で契約金額を明らかにすることができるので、記載金額500万円の第2号文書となります。
但し、第1号文書、第2号文書、第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)以外の取引の場合にはこの特例は適用されず、記載金額及び契約期間の記載はないことになります。
ご紹介した事項以外でも算定方法はいくつもありますが、算定した記載金額によって、税額が異なってしまいますので注意が必要です。
引用:国税庁HP「タックスアンサー」、「印紙税の手引」
横浜青葉事務所
小嶋勇也