企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合の取り扱い
新型コロナウイルスのワクチン接種が進められ感染者の数もかなり抑えられてきました。しかし、これから冬に向けて感染のリバウンドが懸念されるなど、まだまだ安心できません。感染拡大防止のためには、ひとりひとりが徹底した感染予防に取り組むことが求められます。
そこで今回は、感染予防対策のために従業員が支出した費用を企業が負担した場合についての取り扱いについてご紹介いたします。
企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合、支給に係る従業員の所得税の課税関係については、下記のようになります。
<従業員に対する給与として課税されない>
・業務のために通常必要な費用について、その費用を精算する方法(従業員からその費用に係る領収証等の提出を受けて、その費用を精算する方法)により、企業が従業員に対して支給するもの
<従業員に対する給与として課税される>
・業務のために通常必要な費用以外の費用について支給するもの
・従業員の家族など従業員以外の者を対象に支給するもの
・予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないもの
・所有権を従業員が有するもの
具体的な費用の例) マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費
通勤時に使用する通常必要なマスク等の消耗品費については、業務のために通常必要な費用となるため、従業員に対する給与として課税されません。
一方、従業員の家族など従業員以外の者を対象に支給するものについては、業務のために通常必要な費用以外の費用となるため、従業員に対する給与として課税されます。
その他の具体的な費用と取り扱いについては、国税庁HP質疑応答事例に記載がありますので、ご参考ください。
今回の記事が、皆さまのお役に立てましたら幸いです。
出典:国税庁HP質疑応答事例「新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/04.htm
渋谷事務所
星野 沙織