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文書の保存期間を見落としていませんか?法定保存期間をご紹介

社内で保存している文書は、法律によって保存期間が決められています。

保存期間が決められている文書を、保存期間別にまとめてみました。

必要ないと思って見落としていた文書はないか、また保存期間が過ぎているにも関わらず、いつまでも保存していないかなど、ぜひ参考にしてください。

永久保存が必要な文書

永久保存が必要な文書には、法律等で保存期間は決められていません。しかし、重要文書のため永久保管が必要であるとされています。

総務・庶務
・定款
・株主名簿、新株予約権原簿、社債原簿、端株原簿、株券喪失登録簿
・登記済書(権利証)など登記・訴訟関係書類
・官公署への提出文書、官公署の許可書、認可書、通達などで重要な書類
・知的所有権に関する関係書類(特許証や登録証、特許料や登録料の受領書など)
・社規・社則およびこれに類する通達文書
・効力の永続する契約に関する文書
・重要な権利や財産の得喪、保全、解除および変更に関する契約書
・社報・社内報、重要刊行物
・製品の開発・設計に関する重要な文書

人事・労務
・重要な人事に関する文書
・労働組合との協定書

保存期間が30年の文書

保存期間が30年の文書では、 労働安全衛生法や労働安全衛生法施行令などの規定に基づいた各規則を根拠として、保管期間を定めています。

人事・労務
・労働者に関する作業概要などの定期記録
・上記労働者の特定化学物質等健康診断個人表
・焼却施設等作業の記録
・放射線業務従事者の健康診断記録
・常時焼却施設等のダイオキシン類の濃度の定期測定記録
・クロム酸等の空気中における濃度の定期測定記
・特別管理物質についての作業の記録
・放射線業務従事者の線量の測定結果記録
・電離放射線健康診断個人票
・特別管理物質を取り扱う業務に携わる労働者の特定化学物質健康診断個人票

保存期間が10年間の文書

保存期間が10年の文書は、会社法や製造物責任法、商法などの法律を根拠として、保存期間を定めています。

総務・庶務
・株主総会議事録 (本店備置き分。支店備置き分はその謄本を5年保存)
・取締役会議事録
・委員会議事録 (指名委員会、監査委員会、報酬委員会)
・重要会議の記録
・満期または解約となった契約書
・製品の製造、加工、出荷、販売の記録 ※民法724の規定では、20年が期限

経理・税務
・計算書類および附属明細書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表
・会計帳簿および事業に関する重要書類(総勘定元帳、各種補助簿、株式申込簿、株式割当簿、株式台帳、株式名義書換簿、配当簿、印鑑簿など)

保存期間が7年間の文書

保存期間が7年の文書のうち、経理・税務に関するものは、法人税法や所得税法、電子帳簿保存法、国税通則法を根拠条文としています。

また、労働安全衛生に関するものは、労働安全衛生法や労働安全衛生法施行令などの規定に基づいた各規則を根拠として、保存期間を定めています。

経理・税務
・取引に関する帳簿(仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳など)※証憑書類のうち取引に関する事項(法人税法施行規則の別表22に定める記載事項の全部または一部)を帳簿に記載することに代えて、記載されている書類を整理保存している場合の書類を含む
・棚卸表、貸借対照表など決算に関して作成された書類(会社法で10年保存が義務づけられている書類以外)
・現金の収受、払出し、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された取引証憑書類(領収書、預金通帳、借用証、小切手、手形控、振込通知書など)
・有価証券の取引に際して作成された証憑書類(有価証券受渡計算書、有価証券預り証、売買報告書、社債申込書など
・取引証憑書類(請求書、注文請書、契約書、見積書など)
・電子取引の取引情報に係る電磁的記録(取引に関して受領または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項の記録)
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書
・給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
・源泉徴収簿(賃金台帳)
・課税仕入等の税額の控除に係る帳簿、請求書等(5年経週後は、帳簿または請求書等のいずれかを保存)
・資産の譲渡等、課税仕入、課税貨物の保税地域からの引取りに関する帳簿

労働安全衛生
・粉じん濃度の測定記録、測定結果の評価記録
・じん肺健康診断記録、じん肺健康診断に係るエックス線写真

保存期間が5年間の文書

保存期間が5年の文書のうち、総務・庶務に関するものは会社法や金融取引法、また廃棄物の処理及び清掃に関する法律の各施行規則を根拠としています。

総務・庶務
・事業報告(本店備置き分。支店備置き分はその謄本を3年保存)
・有価証券届出書・有価証券報告書とその添付書類、訂正届出書の写し
・産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し
・産業廃棄物処理の委託契約書
・契約期限を伴う覚書・念書・協定書など
・重要事項のやりとりに関わる文書

そして、人事・労務に関するものは、身元保証二関スル法律(身元保証に関する法律,身元保証法)を根拠として、保存期間を定めています。

人事・労務
・従業員の身元保証書
・誓約書など

また、経理・税務に関するものは、会社法のほか、所得税法施行令や租税特別措置法施行令を根拠としています。

経理・税務
・監査報告
・会計監査報告
・会計参与が備え置くべき計算書類、附属明細書、会計参与報告
・金融機関等が保存する非課税貯蓄申込書、非課税貯蓄申告書など
・金融機関等が保存する海外転勤者の財産形成非課税住宅貯蓄継続適用申告書、海外転勤者の国内勤務申告書などの写し
・金融機関等が保存する退職等に関する通知書
・退職等に関する通知書

さらに、労働安全衛生に関するものは、労働安全衛生法や労働安全衛生法施行令などの規定に基づいた各規則を根拠条文としています。

労働安全衛生
・じん肺健康診断記録、じん肺健康診断に係るエックス線写真
・健康診断個人票(一般・有機溶剤等・鉛・四アルキル鉛・特定化学物質等※クロム酸等は30年・高気圧業務・電離放射線の各健康診断個人票、一酸化炭素中毒症)
・高圧室内業務の減圧状況の記録
・測定の記録(線量当量率、放射線物質の濃度、外部放射線による線量当量率、放射線物質の事故発生)

保存期間が3年間の文書

保存期間が3年の文書のうち、総務・庶務に関するものは金融商品取引法、人事・労務に関するものは労働基準法や労働基準法の各施行規則、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、家内労働法などを根拠条文としています。

また、労働安全衛生に関するものは労働安全衛生法施行令の各規則を根拠として、保存期間を定めています。

総務・庶務
・四半期報告書、半期報告書およびその訂正報告書の写し
・官公署関係の簡易な認可・出願等の文書
・業務日報、社内会議の記録、軽易な契約関係書類、参照の必要性のある文書など

人事・労務
・労働者名簿
・賃金台帳(国税通則法では7年保存を義務付け)
・雇入れ・解雇・退職に関する書類
・災害補償に関する書類
・賃金のその他労働関係の重要書類(タイムカードや残業命令書、残業報告書など)
・企画業務型裁量労働制についての労使委員会の決議事項の記録
・労使委員会議事録
・労災保険に関する書類
・労働保険の徴収・納付等の関係書類
・家内労働者帳簿
・派遣元管理台帳
・派遣先管理台帳
・身体障害者雇用関係書類
・家内労働に関する帳簿

労働安全衛生
・安全委員会議事録
・衛生委員会議事録
・安全衛生委員会議事録
・救護に関する訓練の記録
・危険・有害業務に従事するときの安全衛生のためのときの安全衛生のための特別教育の記録

保存期間が1~2年間の文書

保存期間が1~2年間の文書は、総務・庶務に関するものは金融商品取引法、人事に関するものは雇用保険法や健康保険法、厚生年金保険法を根拠条文としています。

総務・庶務
・臨時報告書、自己株券買付状況報告書およびそれぞれの訂正報告書の写し
・当直日誌、軽易な往復文書、受信・発信文書、通知書類・調査書類・参考書類など
・休暇届、欠勤届および休暇使用記録票

人事
・雇用保険関係の書類(雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届など。労働保険の保険料の徴収等に関する法律または同施行規則4による書類は3年)
・健康保険・厚生年金保険関係の書類

保存期間が決められていない文書

保存期間が決められていない文書に関しては、社内で一律の規則を設けて管理することが重要です。

部署ごとにルールを決めると、他部署と文書のやりとりの際に相違が起こりがちです。全社でルールを設け、徹底した文書管理を行いましょう。

まとめ

今回は、見落としがちな文書の保存期間についてご紹介しました。

社内で取り扱う文書は必要である、必要ではないといった理由で保存するのではなく、法律で保存期間が定められていることがおわかりいただけたと思います。

大量にある文書の保存期間を管理することが困難であれば、Excelのようなツールや文書管理システムなどを利用することもおすすめです。

(画像はPixabayより)

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