役員借入金の増加によるデメリットとその解消方法

 会社が事業を行う上では、資金調達が必要になりますが、調達方法としては一般的に会社設立した時の元手や、金融機関からの借入金があります。この他にも会社役員(特にオーナー社長)からの資金調達(役員借入金)も該当しますが、この役員借入金が多額になるケースは注意が必要です。なお、役員借入金には会社が支給しきれない報酬残額や会社の経費を立て替えて精算できていない費用も含まれます。
 
⑴ 役員借入金が増えるとどうなる?
 役員借入金が増えすぎると、次の3つの影響(デメリット)があります。
① 金融機関は企業の財務数値などを使って点数評価しているのはご存知と思いますが、その財務数値の中での重要な指標である「自己資本比率」が悪くなります。つまり、社長借入金をなくすことができれば「自己資本比率」がアップし、銀行の与信審査が有利になります。
 
② 役員借入金は会社にとっては借入金に該当しますが、役員からすると貸付金に該当して相続税の対象になります。相続税の基礎控除額以下の相続財産の持ち主でしたらいいですが、不動産などをお持ちの役員さんでしたら税額シミュレーションが必要なケースもあるかもしれません。申告書上では税額が算出されても現預金がないケースもあるかもしれませんので要注意です。
 
③ 役員借入金が増えすぎて、返済義務のあるこの負債を返済できないとなると、会社は債務免除(貸し付けた役員からすると債権放棄)を行うことが考えられます。債務免除益として利益を得た会社には税金(法人税)がかかってくる恐れがあります。なので、通常は過去9、10年間の税務上の繰越欠損金があり、この免除益と相殺できる場合に実行するのが普通です。
 
⑵ 役員借入金を減少させるためには?
 役員借入金を減少・解消する方法には次の3つの方法があります。
① 役員報酬を減額し、借入金を返済する
 役員借入金を減額させるためには、役員報酬を減額して、会社の資金繰りの中から借入金の返済を行う方法があります。役員報酬を減額する場合には、その分会社の利益が増えるので経営状況を見ながら行う必要があります。また、報酬の減額に伴って、健康保険料などの社会保険料も減少しますが、住民税が減少するまでにはタイムラグがあるので注意が必要です。
 
② 債務免除を行う
 債務免除すると債務免除益が発生し、儲けが出てしまいます。この儲けを相殺できるほどの経費や特別損失があることや、欠損金を用いることによって税金が発生しなくなります。役員にとっても貸付金が消滅し相続財産が減少します。但し、債券放棄した役員以外に株主がいる場合には、会社が債務超過でなくなり、株式の評価額が増え、他の株主1人当り年間110万円を越えると、贈与(贈与税)と認定される可能性があるので注意が必要です。
 
③ デッド・エクイティ・スワップを行う
 借入金の資本金への振替(Debt Equity Swap)により財務状態も見かけ上好転させるものです。役員からすると、貸付金が会社の資本金(株式)に転化したことになり、出資株式の評価額が増加する場合もあり得ます。また、DESにより資本等の金額が1,000万円を越えた場合(法人住民税の最低均等割)や資本金が1億円を超える場合(法人税等)には増税になりますので注意が必要です。
 
 いずれにしても、事業再生の場合を除けばレアケースだと思いますが、課税関係が生じる可能性もありますので、詳しくは、コンパッソ税理士法人のご相談ください。
 

川崎事務所 斎藤将光

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