少子高齢化における介護離職の実態と要因

 平成24年には老年人口(65歳以上人口)が人口比率において24%を突破し、日本は超高齢社会となりました。出生率も低下し、少子高齢化社会と呼ばれています。高齢の方が増え、それに伴って介護する人口も増加しています。
 総務省統計局の就業構造基本調査によりますと、介護をしている年代は60歳から64歳が最も多く次いで70歳以上となっています。高齢者が高齢者を介護する、いわゆる「老老介護」の世帯も増えています。次いで多いのが40代から50代の課長や部長クラスの、役職を任され重要なポジションに就くことが多い年代であり、働きながらの介護も精神的・肉体的に難しい面があります。
 上記同調査により、現在では介護される方の実に四割もの方が介護のために離職している実態も明らかにされています。
 今後も高齢化が進む以上は、要介護者も増える傾向にあり、仕事と介護の両立は難しいとの思いから介護離職は増えるでしょう。「平成24年度仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)によれば、介護離職のデメリットとして、介護者の収入減少、好きな仕事・やりがいのある仕事を続けられなくなる、自分の自由な時間が確保できなくなるなどが挙がり、離職に関して実に五割強の男女が「仕事を続けたかった」と回答しています。離職後の再就職も「介護の両立に関する労働アンケート調査」(同)では正社員として再就職ができたのは五割以下となっています。
 現在、国の取り組みとして、介護離職ゼロを目指す制度が進められています。高齢人口の急速な増加のため、従来の医療制度や老人保健制度では適応しきれない問題が多く、社会構造の変化も視野に入れなければなりません。
 一般的に「育児・介護休業法」と呼ばれる、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」では、現在働いている職場での仕事を続けながらの介護をできるよう休業制度を定めています。介護の為のまとまった休暇を取れる介護休業制度、就業時間短縮やフレックスタイムを取り入れる勤務時間の短縮措置、時間外労働や深夜労働を制限する制度、介護休業などの制度申し出や制度取得を理由とした解雇などの禁止などがあります。
 介護は長期に渡る場合が多く、家庭に負担なく長く続けられる介護サービスや利用可能な制度を探す必要があります。介護離職によって定期的な収入が減少すれば家計への負担も大きくなります。また、介護離職からの再就職に際しても、働き盛りである40代から50代に介護を長期間行うことによるキャリアの分断が、新たな就業への意欲減退の要因になっています。さらに介護離職者の半数以上が精神的・肉体的・経済的に負担が増したと感じており、離職したとしても介護者の負担が楽になるとは言い難いとの上記アンケートの結果になっています。
 こういった介護離職を避けるためにも、介護保険制度とともに会社が実施している支援制度をしっかり理解し、有効に活用することが大切であると言えるでしょう。
 

東京練馬事務所 菅原 明子

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