残業代支払ってますか?経営者が理解しておきたい「サービス残業」
残業時間短縮によりサービス残業が問題に
政府主導による「働き方改革」の推進によって、長時間の残業が見直される動きが広まっていますが、残業時間が短縮することによって「サービス残業」が問題となっています。
サービス残業はあってはならないことですが、どのような場合にサービス残業が発生してしまうのでしょうか。サービス残業が発生する事例を確認した上で、サービス残業に対する罰則についても把握しておきましょう。
限られた残業時間内で業務が終了しない
サービス残業が発生する理由としては、限られた残業時間の中で業務が終了しないことがあげられます。
期限までに処理しなければならない業務が多ければ、期限に間に合わせるためにやむを得ず残業しなければならないこともあるでしょう。
しかしながら、残業時間の上限が定められているならば、従業員の中には、残業時間の上限を超えて働くことがルール違反であると考え、「残業時間を過少報告せざるを得ない」と判断してしまう事例も起こり得ます。
このことが、残業時間の過少報告につながってしまうといえるのです。
早朝勤務を行っていた
また、サービス残業が発生する事例として「早朝勤務」があげられます。
勤務時間の終了後も引き続き業務を行っていた場合は、残業としてみなすことが一般的ですが、勤務時間の前に作業を行う場合は、業務命令で義務的に業務を行っているのではなく、あくまでも自主的に作業を行っていたとみなされ、残業には含めないケースもみられるのです。
しかしながら、早朝勤務は、前日に終了しなかった業務を早朝の時間帯に行っていた、という見方もできます。
多くの量の業務を強要されれば、業務終了後だけでなく、早朝も業務を処理しなければならないと考えるのではないでしょうか。その観点を踏まえれば、早朝に行う業務は残業とみなされるべきです。
みなし残業を行っていた
そのほか、サービス残業が発生する事例としては、「みなし残業」があげられます。
みなし残業とは、毎月の残業代が固定化されている状態で残業することを指します。みなし残業の残業代は、一定の残業時間を元に算出されたものですが、見方を変えれば、一定の残業時間を超えて残業した場合は、超過した時間分の残業代を受け取ることができます。
本来、残業代は残業時間に応じて支払われるべきですが、企業でみなし残業の制度を取り入れれば、残業代の支払額が毎月一定となるため、企業側としては毎月の残業代のめどをつけやすくなります。
また、労働基準法第41条2項においては、「割増賃金の支払いは、管理監督者は適用外」という内容が記載されていますが、企業内で一定以上の責任がある職務に就いている人を「管理職」とみなすことで、みなし残業の制度を取り入れ、残業代を抑えようとする考え方もあるようです。
サービス残業に対する罰則とは?
ここまで、サービス残業が発生しうる事例についてみてきましたが、サービス残業をした分については無賃労働に直結することから、サービス残業は労働基準法で規制されており、罰則も設けられています。
労働基準法第37条には割増賃金、つまり残業代に関する内容が記載されていますが、労働基準法第119条においては、第37条の内容に違反した場合、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金に処すると記載されています。
参考:電子政府の総合窓口 e-Gov 労働基準法
https://elaws.e-gov.go.jp/
現在は、少子高齢化により企業内の労働力不足が進行していること、それに加えて働き方改革の実施が求められる状況ですが、業務の効率化が実現しなければ、サービス残業が発生しやすい状況となります。
しかしながら、サービス残業はあくまでも違法であり、企業はサービス残業の撲滅を目指さなければなりません。企業としては、業務を効率化する仕組み作りに努めること、そして従業員に対し、業務を時間内に終了する習慣をつけさせることが重要といえるでしょう。
(画像は写真ACより)