年収の壁はどこ?

最近のお客様との話題から
~ 年収の壁はどこ? ~  社員 戸田盛通

毎月お伺いさせて頂いている会社のフロアーを覗くと、最近は多くのパート従業員の方が活躍されている光景をお見かけ致します。
そんなパート従業員の皆さんのお手許に「保険料等控除証明書」のハガキが届き始める季節になると、年末調整の話題で持ちきりになり、今年の年収がいくらになるか気になる方も少なくはないでしょう。
 ある意味で都市伝説の如く、目に見えない「年収の壁」があるような噂を耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか。

その1:100万円の壁
 パートの方が最初に遭遇する壁がこの100万円の壁です。給与の税金計算の基準となる金額(「課税所得」と言います)は、次の様に計算されます。
給与収入-(給与所得控除65万円+基礎控除38万円)=課税所得
 つまり、給与収入が103万円までであれば、課税所得が0円、所得税が課税されないことになるのです。これが103万円の壁です。(先に説明してしまった・・・。)
 
 これに対して、住民税の計算は以下の様になります。
給与収入-(給与所得控除65万円+住民税所得割の課税基準35万円)=課税所得
 つまり、給与収入が100万円までであれば、課税所得が0円、住民税が課税されないことになるのです。

その2:103万円の壁
 103万円の壁の意味は上記で説明したとおりですが、壁を越えてしまうとどんな問題があるのでしょうか?
ズバリそれは「配偶者(夫)の所得から配偶者控除38万円が控除されない」ということです。
「配偶者控除38万円が控除されない」とは具体的にどういうことかと言えば、仮に税率が20%の方の場合、配偶者控除38万円が控除されないと7万6千円(=38万円×20%)税金が増えることになります。
 なお、この配偶者控除は、平成30年からは配偶者(夫)本人の所得制限が発生します。年収1,120万円までは配偶者控除は受けられますが、1,120万円を越えると段階的に減り、1,220万円を越えると控除は受けられなくなりますので注意が必要です。

その3:141万円の壁
 パート収入が103万円の壁を越えてしまったからと言ってすぐに慌てる必要はありません。
「配偶者控除」が適用されなくても、配偶者(夫)の合計所得金額に応じて「配偶者特別控除」を受けることが出来ます。
平成30年以降は、配偶者(夫)の収入金額が1,120万円までであれば、パート収入150万円までは配偶者特別控除38万円(150万円の壁)を受けることが出来ます。また、パート収入201万円までは、段階的に引き下げられながらも配偶者特別控除(141万円の壁から201万円の壁へ)を受けることが出来ます。

ただし、1点だけ留意して頂きたい事項があります。
配偶者の収入が103万円以下であることを条件に「扶養(家族)手当」を支給している企業が少なくはありません。103万円を少し越えた程度で税金の影響が少なかったとしても、収入自体が減ってしまう可能性がありますので、パート収入で103万円を越える時には充分に留意する必要があります。

その4:130万円の壁
 ここまで所得税・住民税の話を中心にしてきましたが、税金の増減による影響額は<控除額×税率>なので、実際に影響する税額はそれほど大きくありません。しかし、この130万円の壁ばかりはどうしようもありません。
 パート収入が130万円を越えると配偶者(夫)の健康保険の被扶養者から外れるため、自身で健康保険に加入し社会保険料の納付義務が発生します。結果的に自身の年間負担額が約20万円増えることになるため、越えられない大きな壁になります。

 都市伝説の様に謳われてきた「年収の壁」を築いていたのは、税金ではなく、実は、社会保険料で築かれた壁でした。配偶者(夫)の給与の「扶養(家族)手当」の問題さえ解決出来れば、本当の壁は130万円ということになります。平成30年より150万円という言葉だけが先行していますが、130万円が本当の壁になるので注意が必要です。中途半端にパート収入を得るくらいであれば、年収170万円超を目指した方が手取は多くなります。

ご不明な点がございましたら、お気軽にコンパッソ税理士法人までご相談下さい。