
新しい資金調達の手法「クラウドファンディング」をご存知ですか?
<クラウドファンディングとは>
一般に、特定のプロジェクトまたはベンチャーと資金提供者をインターネット経由で結び付け、不特定多数の資金提供者から少額ずつ資金を集める仕組みを意味する言葉として用いられています。
クラウド(crowd) = 群衆
ファンディング(funding) = 資金調達
クラウドファンディング・プラットフォーム = クラウドファンディングの運営事業
<クラウドファンディングの利点>
1.資金調達できる
2.活動の認知度を上げることが出来る
3.資金の集まり具合から売上予測が出来る
<クラウドファンディングの種類>
1.寄附型 リターンは無
2.購入型 リターンはプロジェクトが提供する権利や物品
3.株式型 リターンは株式
<クラウドファンディングの課税関係>
1.寄附型
税法上、寄附はパターンによって取り扱いが異なりますので、次の4つのパターンに分けて解説いたします。
(ア)個人から個人への寄附の場合
・寄附した個人
課税関係なし、寄付金控除も受けられません。
・寄附を受けた個人
贈与を受けたことになる。よって1/1~12/31までに受け取った贈与額から110万円の基礎控除を引いた残額に、贈与税が課税されます。
(イ)法人から個人への寄附の場合
・寄附した法人
一般の寄付金となり損金限度額を限度として損金算入することが出来ます。
・寄附を受けた個人
一時所得として所得税が課税される。クラウドファンディング・プラットフォームへ支払う手数料は所得から差し引くことが出来ます。
また、50万円の特別控除が認められています。
(ウ)個人から法人への寄附
・寄附した個人
課税関係なし、寄付金控除も受けられません。
・寄附を受けた法人
寄附を受けた金額が受贈益となり益金の額に算入されます。
(エ)法人から法人への寄附
・寄附した法人
一般の寄付金となり損金限度額を限度として損金算入することが出来ます。
・寄附を受けた法人
寄附を受けた金額が受贈益となり益金の額に算入されます。
※資金調達者が公益法人等であった場合等、寄附金が「特定寄付金」該当する可能性がないとは言い切れませんので、例えば「○○義援金を募集します」や「△△災害緊急支援プロジェクト」といったような場合には、クラウドファンディング・プラットホームに確認してください。
2.購入型
税法から見ると資金調達ではなく、単なる物品販売とみなされます。調達した資金からプロジェクトにかかった費用を差し引いたあとの利益に
個人の場合は所得税、法人の場合は法人税が課税されます。もちろん利益がでなければ、税金は発生しません。但し、資金調達額とリターンである物品の時価がかけ離れている場合には、寄附型のクラウドファンディングとみなされる可能性があります。
3.投資型
2015年5月に株式型のクラウドファンディングが解禁され、一定条件のもと、非上場企業への株式投資が可能となりました。
(1)個人の場合
株式を売却した場合は譲渡所得・配当があれば配当所得(総合課税)として所得税が課税されます。なお、2016年1月1日以降は、上場株式等の譲渡損益と未上場株式の譲渡損益の通算はできなくなります。
(2)法人の場合
法人税が課税されることになります。もちろん利益がでなければ、税金は発生しません。
「ふるさと納税」も地方公共団体によるクラウドファンディングの一つであると考えられます。このような寄附(投資)文化が根付いていけば、日本経済のお金の流れが活性化していくのではないかと考えます。皆様はどのようなプロジェクトに参加(寄附・投資)してみたいですか?
出典:総合法令出版「クラウドバンクではじめる1万円投資」大前 和徳著
日本証券業協会~「非上場株式の取引制度等に関するワーキング・グループ」報告書~