中小企業におけるIT活用の今後5

スマートフォンでできることと言えば、電話、メール、インターネットのほかにアプリによるスケジュール管理、家計簿、ゲームなど多種多様です。チャットのアプリや写真を簡単に加工できるアプリは人気が高く、朝の情報番組でも取り上げられることでさらにダウンロード数が増えているようです。
今回はスマートフォンビジネス、特にアプリ開発の市場の将来性について、佐藤航陽氏の著書『スマホで世界をねらうために知っておきたい3つのこと』よりご紹介したいと思います。

日本の従来の携帯電話は「ガラパゴス化」とも言われたように、独自の進化を遂げてきました。フィーチャーフォン(スマートフォンではない高機能端末)におけるモバイルコンテンツビジネスは、通信キャリアがアクセスから決済までをコントロールしており、通信キャリアを通して通話料とセットの課金方法や月額で継続契約させる仕組みがうまく機能していました。
ところが、新しく広がっているスマートフォンビジネスにおいてはビジネスの主導権が通信キャリアからOSへと移ったことにより、課金のシステムが崩れ、収益構造が大きく変化しました。ほとんどの人気アプリが無料で使用できるため、ヒットしたアプリでさえ売上げが上がっていないというのが現実です。またダウンロード数を稼いで広告で儲けるようなビジネスモデルも大きく方向転換を迫られています。
一方で、無料の人気アプリを有していたインスタグラム社はアプリ自体にはほとんど売上げは存在しなかったのですが、2012年にフェイスブックが10億ドルで会社ごと買収したことによりマネタイズ(収益化)を実施したのです。

儲けにくさの点からいってスマートフォンビジネスは従来の携帯電話ビジネスに劣ると思われますが、スマートフォンビジネスのメリットはなんでしょうか?
それはグローバル展開にこそあります。スマートフォンは世界共通のOSを搭載しているからです。
調査会社ガートナーの公表によりますと、アプリの市場規模は2015年には2兆円程度にまで成長するとされています。これはスマートフォンの登場により他の市場を奪っていることが一因です。
たとえば、ミュージックプレイヤー、ゲーム機はスマートフォンのアプリとして置き換えられました。さまざまなビジネスがスマートフォンで代替されることで集約されていき、その上で稼働するアプリの市場規模が今後さらに拡大していくのは間違いありません。

今、スマートフォンで攻めていく国として勧められるのは、中国を除くアジアです。アジアの国々は経済成長の真っただ中にあり、さらにモバイルビジネスは始まったばかりで、エンターテインメント産業自体が成熟しておらず、日本企業のような外資でも攻めやすい環境にあります。カルチャーの点では日本と似ている国が多く、日本のものをそのまま持ち込んでも通用することがあります。また、将来性の高い中国へ進出するための助走としてもアジア市場は適しています。中国は近い将来、世界一の市場になることは間違いなく、ターゲットとして常に意識していく必要があります。しかし、現状の中国はオープンになっている情報が非常に少なく、マーケティングの方法が独特であることや嗜好性の違いなどもあり、北米の大手ネット企業が進出しましたが、成功した例がほとんどないと言われています。

世界でのスマートフォンの普及率は爆発的な勢いで増えており、日本での普及率は2012年6月現在で2割程度ですが、シンガポールではすでに国民の7割、韓国でも国民の5割利度がスマートフォンを所有しています。収益を上げるモデルすら確立していない現在、誰にも世界で成功するチャンスが与えられていると言えそうです。

出典:日本経済新聞出版社『スマホで世界をねらうために知っておきたい3つのこと』佐藤航陽著
    朝日新聞 11月10日経済面「無料アプリねらうは集客」

川越事務所 石川幸恵

 

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