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2016年度税制改正の焦点(所得税改革)

4月23日、自民党税制調査会が幹部会合を開き、2016年度税制改正の議論が始まりました。また、財務省も所得税を中心とした税制改革の方向性を大筋で固めており今後議論が深まってゆくと思われます。2016年度税制改正の焦点として各種税目がありますが、今回は所得税改革にしぼり簡単にその概要について説明させていただきます。

所得税は個人の給与所得や一時所得、退職所得等に課税されます。各所得金額の合計額から一定額を差し引ける「各種の所得控除額」を控除して、課税対象金額を減らした後に税率を掛けて計算します。

所得税改革について
1.所得税改革の目的
    ・働く意欲を損なわず結婚や子育てを後押しすること。
    ・成長の担い手である若い世代を重視し、経済成長の基盤を強化すること。

2.所得税改革の方向性
    獲得した所得から一定額を差し引くことで課税対象金額を減らし、税負担を軽くする所得控除の仕組みを改革の目的に沿った形で見直しを行う。

3.具体的な検討項目
    (1)配偶者控除
       主にサラリーマンと専業主婦の妻などの世帯の税負担を軽くする配偶者控除は、女性が年収103万円以下に働き方を抑えることにつながると
       指摘がある。政府は配偶者控除を廃止し、共働きを含むすべての夫婦世帯を対象にした控除を設ける新制度などを検討。

    (2)子どものいる低所得の世帯の負担の軽減
       安心して結婚、子育てできる環境を確立できるよう負担を軽減する。

    (3)公的年金等控除の見直し
       高所得の高齢者には応分の負担を求めるという観点より、高所得者に対して公的年金等控除を縮小する案があるよう。これは、年金受給者に
       適用される公的年金等控除は給与所得者の給与所得控除より手厚く、税負担が軽いため。

この所得税改革は、所得税の税率の引き上げはない方向で、また、改正前後の税収額がほぼ変わらないように検討されるようです。

所得税以外の税目についても税制改正の動きがあります。2017年(平成19年)4月に10%引き上げられる予定の消費税は、一部商品の税率を低く抑える軽減税率の対象品目の選定、法人税においては現在32.11%の実効税率を目標の20%台に引き下げるには2.12%以上が必要となります。
2016年度は、0.78%以上引き下げることが決まっていますが、減税の代替財源があれば下げ幅を拡大することも可能のようです。

本年もまた年末に向かって税制改正の議論が始まっています。どのような経過を経て2016年度の税制が決定されてゆくのか、じっくりと見守っていきたいと思います。現行の所得税について、ご不明な点などございましたらコンパッソ税理士法人までご連絡下さい。

出典:日本経済新聞2015年4月24日朝刊

川崎事務所 松岡信明

 

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