10万円以下の医療費支出の方も、医療費控除が適用できる!?

従来からある個人の確定申告における医療費控除は、例えば総所得金額等が200万円以上の方の場合、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他親族のために支払った1年間の医療費が10万円を超えると、一定の金額の所得控除を受け、税金が安くなる制度です。ただ、今までは医療費が10万円以下の方も多く、医療費控除を諦めていた人も多かったのではないでしょうか。
この度平成27年12月に厚生労働省は、平成28年度税制改正の中で「スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)」を公表しました。この制度は「スイッチOTC薬」と呼ばれる市販薬を薬局等で購入し、その合計額が1年間で12,000円を超えると、一定額が所得から控除でき、税金が安くなるものです。

スイッチOTC薬とは?
スイッチOTC薬とは、もともと医師の処方箋がなければ入手できなかった医療用医薬品の内、副作用の少なさや使用実績などから判断して、街の薬局等で購入できるように転用(=スイッチ)された一般用医薬品(OTC:※1)です。医療用医薬品の成分を元に作られているため、スイッチOTCではない一般用医薬品と比較すると効き目が高い傾向があります。
対象となるのはファモチジンやフェキソフェナジンなど82成分あり(平成27年12月時点)、普段薬局でよく見かける胃腸薬、花粉症の症状を抑える抗アレルギー薬、鎮痛剤も含まれています。
※1:Over the Counterの略。カウンター越しに薬を購入できる形態に由来します。

適用できる人
健康の維持促進及び疾病の予防への取り組みとして、一定の取り組み(特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診)を行う個人。

医療費控除の適用期間
平成29年1月1日~平成33年12月31日

医療費控除額(具体例)
1年間で自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族が購入したスイッチOTC医薬品の合計額が12,000円を超えるときは、その超える部分の金額について、その年分の総所得金額等から控除します。但し、控除できる上限額は88,000円であることに注意が必要です。

(例)平成29年におけるスイッチOTC薬購入額:50,000円(生計を一にする配偶者その他の親族の分も含む)
    医療費控除額:38,000円(=50,000-12,000)
    減税効果の目安(所得税率が10%の場合):3,800円(=38,000×10%)

留意点
本特例の適用を受ける場合、冒頭で述べた従来からの医療費控除の適用は受けられません。したがって、入院や出産等により10万円以上の医療費がかかった場合は、従来からの医療費控除の適用を受けた方が有利でしょう。

本特例は、軽度な症状は薬で自己治療するというセルフメディケーションを推進し、国の医療費を削減する目的です。国民にとって医療費控除を受けられる機会は増えますが、薬の飲み合わせ、副作用等について専門的知識が乏しいこと、医師の診断がないことによる病気発見が遅れることなど、リスクもあることは事実です。よって自己の判断だけでなく、薬剤師や登録販売者に症状を相談して適切な情報を集めながら、薬・健康と税制の両方に上手く付き合う必要があります。

出典:厚生労働省HP

渋谷事務所 中田絵莉子

  

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