
領収書の印紙について
3万円以上の領収書には、印紙を貼付しなければならないということは、感覚的にあるかと思いますが、今回はこの領収書の印紙について考えてみます。
<定義>
領収書は印紙税法の別表第1「課税物件表」の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当します。
「金銭又は有価証券の受取書」とは、金銭又は有価証券の引渡しを受けた者が、その受領事実を証明するため作成し、その引渡者に交付する証拠証書を言います。そのため、「受取書」と記載されている必要はなく、「受取証」、「領収書」、「領収証」、「レシート」その他文言に関係なく、その作成の目的が金銭又は有価証券の受取事実を証明するものは印紙の貼付が必要になるわけです。
<課税標準と税率>
※課税標準算定上の消費税等の取り扱い
1.免税事業者(消費税の納付義務がない事業者)の場合
消費税の金額を区分記載したとしても、税込総額で判定することになります。
2.課税事業者の場合
消費税の金額を区分記載した場合には、消費税の金額は記載金額に含まれません。
例1)金30,450円 ただし、内消費税等の金額1,450円→29,000円→非課税
例2)金1,029,000円 ただし、税抜価格980,000円→980,000円→200円
※ポイントは消費税等の金額が明確に記載されていること又は税抜価格が記載されていることです。
そのため、単に金○○○円(消費税等5%含む)というような記載では税込価格で判定することになります。
<営業に関しない受取書>
別表第一において、営業に関しない受取書は非課税物件とされています。この営業に関しないとは、以下のようなものを言います。
1.利益又は剰余金の配当又は分配をすることができない者が発行する受取書
例)特定非営利活動法人(NPO法人)、公益法人が作成する受取書
2.職業柄営業者の行為とは認められない者が発行する受取書
例)店舗等を有しない農林漁業従事者が自己の生産物の販売に関して作成する受取書、
医師、歯科医師、あん摩マッサージ指圧師、薬剤師等がその業務上作成する受取書、
3.その行為の性格上、営業行為とは言えないもの
例)新聞社、放送局等が行う災害義援金の募集に関して作成する受取書
<印紙税の還付>
印紙税の納付の必要がない文書に誤って収入印紙を貼った時や、所定の税額を超えた収入印紙を貼った場合等には、印紙税の還付を受けることができます。手続き方法は、「印紙税過誤納確認申請充当請求書」に必要事項を記載し、その過誤納となった文書を添付して、納税地の所轄税務署長に対して還付請求を行うことになります。なお、提出期限についての定めはありませんが、国税通則法の規定により5年が時効となります。
<その他>
領収書の印紙は金銭を受領した側(領収書を発行する側)に納税義務があり、不納付の場合の罰則規定があります。(場合によっては本来の税額の3倍を納付することになります。)
そのため、不貼付であったとしても、領収書を受け取った側には罰則は特にありません。また、領収書そのものが否定されるわけではありませんので、再発行してもらう必要は特にありません。
印紙税は文書に対して課税される税金であるため、文書の記載の仕方一つで課税、非課税、不課税の判定から税額まで変わってくる可能性があります。これは領収書に限らず、契約書、合意書その他の文書についても同様です。つまり、印紙税を理解することで節税になる可能性もあるということです。
上記の内容で何かご不明点等ございましたら、コンパッソまでお気軽にお問合せ下さい。
出典:印紙税法基本通達逐条解説(財団法人大蔵財務協会)